第3話 老害

 エルフくんに吹き飛ばされて、落ちたのは、何と! 人間の町だった! というか、お城!


 ってどんだけ吹き飛ばしたねん!


 三日くらいずっと空の旅だったぞ!?


 寧ろ、あんだけ吹き飛ばされて、よく俺無事だったな!?




「おおお! 勇者様じゃ!!」




 落ちた跡地に群がる人の中から、パンツ一丁の爺さんが見下ろしていた。


 周りはちゃんと服着ているのに、あの爺さん……いじめでも受けてるのか?


「爺さん。服くらい着ろよ」


「なっ!? こ、これは心優しい者にしか見えない服なのじゃ!! 服の仕立て師からわざわざ作って貰ったやつだぞ!?」


「あ~、それ騙されてるから。普通に見えてないよ」


「な、ななななな、なんじゃと!!!!」



 - 炎上スキルの効果が上昇します -



 は?


 頭の中に、変なおばさんの声が流れた。


 炎上スキル?


 どういう事だ?


 ただ、一つだけ分かったのは、今の声で凄く元気が出た事だ。



 俺はひとっ飛びで落ちた穴から上に飛び乗った。


 周りから「おお~」って声が聞こえる。


 前世の感覚から、今の十メートルくらい飛んだ気がする。


 向こうなら金メダル一つや二つくらい簡単に取れそうな気がする。






 ――と思っていた時期が俺にもありました。


 現在、反逆罪で王城地下牢に捕まってます。


 クソ爺め!!!


 まさか王様とは知らなかったし、見えない服を着てるって威張る老害だと勘違いして、ボロクソに言いまくったら、兵士達に連行されちゃったよ。



 きゅるるるる――――



 はぁ……お腹空いた。


 異世界に来て既に三日。


 空を飛んでいたから何も食ってないんだよ……牢なら牢らしく冷たい飯くらい出せよ!!




「あ、あの……」


 後ろから綺麗な声が聞こえた。


 振り向いたら、そこには…………。


「すげぇ、髪と体型完璧なのに、顔が残念過ぎる」


 ビキッ


 目の前の女性の顔が怒り顔に変わる。


「……勇者様にお願い・・・があって来ましたが…………大変失礼なお方のようですね」


「俺は炎上系ユーチューバーだからな。思った事は素直に言うだけだ」


「…………」


 ああ…………目だけで人を殺せそうなくらい睨まれてら…………。

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