行ってきます

行ってきます

11年前僕は君をもらった。

当時の僕にとっては大きな大きな貰い物だったろう。

僕と君だけの空間。

暑くてたまらない日には君がはく吐息でよく涼んだよね。

寒くてたまらない日には君が魔法で温かくしてくれたっけ。

もらい始めの頃はよくジュースを飲んだりしたよね。

一緒にジュースを飲んだだけなのにお母さんに叱られたりしてさ。

君と過ごした11年間はかけがえのないものだった。

最後に一言だけ、「ありがとう。またね。」

そう言って君に背を向けると君の吐息が背中を押した。

「行ってらっしゃい」そう聞こえた気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

行ってきます @CITRON0724

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ