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その後、『処理』を終えた僕らはプールに戻り、授業を最後まで受けて……
いつの間にやらお昼。
中庭。
「さ、お弁当の時間だっ。箱の中身はなんじゃらホイッ」
「……よくこんな状況で食欲わくわね」
ジロジロ ジロジロ
「ま、まるで動物園の檻の中です……そういえば朝もこんな感じでしたね」
「暫くはこんな感じでしょ。ま、気にするだけ時間の無駄。作戦会議しつつメシだメシ」
パカリとランチボックスを開けると、中には色とりどりのカットフルーツやら多種なサンドイッチやらが可愛らしく収まっていた。
「うーん。昨日はオニギリで今日はサンドイッチか。薄縁は僕の事を考えて色々工夫してくれるねぇ」
「……自分が食べたかったモノ適当に入れただけだから(プイッ)」
「はいはい。バタバタして朝食べてないからね。早速頂くかあ(パクッ)もぐぐ……卵サンドは卵サンドでも、茹で卵とマヨのマヨたまじゃなく、甘い卵焼きを挟んだのが素晴らしいね。(パクッ)もぐぐ……スパムとレタスのサンドも申し分な……んぐぐっ! 喉に詰まった!」
「かっこみ過ぎ。ほら」
「(ゴクゴクッ)ぷはぁ。この水筒のお茶、ダージリンのアイスティーか。サンドイッチにも合うねぇ。と、なると、こっちの太い水筒は?」
「スープジャーって言うのよ。食べれば分かるわ」
スプーンを渡された……スプーン?
「(キュポン)んー? 白いスープ? ……(ぱくっ)冷たいシチュー?」
「ビシソワーズくらい知っときなさい」
「おっシャレー」
「ちょっと、だらしないから口元汚さない(ゴシゴシ)」
「うぷぷっ、子供じゃないやいっ」
「子供じゃないから問題なのよ」
そんな風に、普段の家の中での遣り取りを二人で進めていると、
「──ん? どしたのホコウちゃん、ボーッとこっちを見て」
「え? い、いえっ、その……『羨ましい』なぁ、と」
それは、確かに羨望の表情。
「うらやまって、何が?」
「な、なんぴとも妨げられない、お二人だけが待つ空間が存在(あ)って、です」
んー。
「別に意識はしてないけど……ま、僕らは付き合い長い兄妹みたいなもんだから」
「なんでアタシが妹ポジなのよ。生まれたのアタシが先なんだから姉でしょ。いや、姉弟だのの扱いもなんか……(ボソボソ)」
「僕的にはしっかり者の妹でも姉でもどっちもイケるからどっちでもいいけどねー」
「と、特定の仲の良いパートナーが居て、羨ましいです……(ポリポリ)」
「……さっきから気になってたけど、【ソレ】なに?」
「え? お、お昼ですが?」
お昼……?
「その緑色の液体は? よく植木鉢に刺さってる栄養剤に見えるけど?」
「は、はい、栄養剤ドリンクです……」
「その茶色いごちゃごちゃしたのは? 腐葉土にしか見えないけど?」
「は、はい、腐葉土サラダです……」
「その白いシリアルみたいな粒々とかかってる青い液体は? よく土の上にばら撒かれてるカルシウム剤と農薬にしか見えないけど?」
「は、はい、お手軽スイーツです……」
なるほど。
「徹底してるね(不思議ちゃん設定を)」
「え? は、はい……」
「もうお互いその調子続けてなさいな」
何となく、味見させて貰うのはやめとこう。
「じ、実はこれら全て、毘沙様がホコウの為に用意してくれて……」
「へー、あの幼女が。嬉しそうだね」
「は、はいっ。あの方は本当に凄いお方で……ホコウは『異世界プランテーション』の【精霊王】を母に持つのですが、落ちこぼれで……そんなある日、母と親交のある毘沙様がこちらに来て『別の世界も見てみないか?』とお誘いして下さって……」
「なるほどねー。ホコウちゃん、お姫様だったんだー」
「もうアンタ考える事放棄してるでしょ」
そんな事は無い。
あの毘沙ちゃん(自分を神だと思ってる幼女)の両親とホコウちゃんの両親同士が仲良くて、それでホコウちゃんは居候させて貰ってる身なのだろう。
完全に理解したわー。
「が、学校だったり、こんな場所で人とご飯食べたり……今日は初めてが一杯ですっ」
「そっかー、……、食事中だからやめとくか」
「どんな(下)ネタ言うか想像つくけど、まぁ踏み止まったのは褒めておくわ」
「──じゃ、ボチボチ作戦会議始めましょっか」
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