イアン王太子の転移先は『ニホン』なんだここは・・・
江戸 清水
異世界に飛ばされたのか?!
ピーン ピーン ピーン
(鳴り響くスマホアラームの音)
ん?騒がしい。なんの音だ!?こっここはどこだ!?物置か!?いや一応はベッドらしきものに私は眠らされていたようだ。
まさか、魔術師にどこかの異世界に?または我が国、サビルナ国が変えられてしまったのか……。
「ヒロ〜起きてる?遅刻するわよー早くしなさい!!」
なんだ?部屋の外から叫ぶとは教育がなっていない。
年配のメイドか。
カチャッと軽い吹けば飛ぶような扉を押し開いたのはエプロンを着たどこかの酒場にでもいそうな女性であった。
女性があのように短い髪にするなど一体どんな罰を受けたのだ。
「部屋まで来ずに叫んで起こすとは無礼だな」
「は?なーに言ってるの?あんた変な夢でも見たんじゃないかい。早く下りてきなさい」
な……こちらに一切の言葉を発させないほどの威力を持ったあのメイドは私に下りろと言い残した。
とりあえず、これが魔術師に仕組まれた異世界であるならば早く抜け出さなければ。
な なんだ!!この雑巾のような装いは?!上下ともにボタンも無く灰色の伸縮性のある、下着か?
壁に掛かっている服の方がまだマシである。仕方ない自分で着替えを行うしかないようだ。
扉を開けると小さな廊下に続き階段が見える。ここは屋根裏だろうか。とりあえず下へ降りてみよう。
「あらもう制服来たのね。偉いじゃない。はいっ食べたら歯磨いて顔洗いなさいよ」
ああ 何という威圧感。これでは何も言う間が無い。
私が腰掛けた今にも音を立てて割れそうな軽い椅子の前には木の板をただ置いたかのようなテーブル。
そこへメイドが卵料理を運んできた。
「かけるんでしょ?あいっ」
「わー!!!!」
「何?ビックリするでしょ!」
「この黒い液体は……な なんだ」
「はあ?しょうゆ!大丈夫かヒロ」
とその時私の背後から爆発音がしたのだ。私は瞬時にテーブルの下へ身を隠した。
四角く薄い絵画のようなものが、光を乱反射しどこからか音がなる。
『おはようございます。おはようスターの時間です。今日も一日元気に過ごしましょう』
「…………」
「こらっ手で食べるんじゃない!!」
と とりあえず私は卵料理に黒いものがかかったもの、あ ショウ ユーといったか?を食べる。二本のピックで突き刺し食べるのは難しいが良い味であった。
水場へ行き身支度をせねば……。
壁に貼り付けられたような重厚感の欠片もない鏡。
「ギャーーーーッ」
「なにー?」
そこへ映ったのは紛れもなく私?イアン ド マグマロリア サビルナ国王太子である私?!
しかし、耳にかかる程の長さの茶色いふわりと額や目あたりにまとわりつく髪。目、目!私の碧眼はどこへ。それは黒っぽい色となり何やら彫が浅すぎる。これは一体なんの種族だ。
とにかく私はこの地味な髪、顔を整えた。
ピンポーン
なぬ?!ここは次から次へと音がなる世界。チンやらカチッやら機械音が絶えないのだ。落ち着かない。
「ヒロー!モナちゃん来たわよ」
メイドが来客だと叫ぶ。どうやら私の名はヒロというらしい。
私は外へ通じる扉から出てみた。
「おはよーっ!ヒロ?」
「な 君は、人間か?!……なんだ妖精か?……愛らしい生き物だな」
モナというその少女は私と同じく彫りは浅いがヘーゼルブラウンの瞳が大きく白い柔らかそうな肌、髪は淡い栗色で真っすぐ肩下で風になびいている。
「……鞄は?」
鞄?みればモナは私が眠っていた部屋に置かれたもの同じ鞄を持っている。あ、服も似ている。
どうやら私達は学園へ通う生徒のようだ。サビルナ国では既に卒業しているが、こちらで私は学園へ通っているということか。
鞄をメイドに持ってくるように頼もうとしたが名前すら知らない故、自分でとり一番ピッタリの靴に足を入れモナの佇む前へと進み腕を出した。
「さあ 参ろう モナ」
しかし彼女はその大きな目をパチパチさせ私の顔を覗き込む。
「何してるの?」
「エスコートだよ。さ、手を」
「え?!」
「迎えは来ないのか」
「歩いて駅まで行ってるでしょ?どうしたのヒロ」
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