第2話 魔女の森

この森に来るのも久しぶり。

まずは魔女レベッカに挨拶したかったのに、あいにく留守だった。

レベッカの好物のクッキーを手紙と一緒に置いて、後にする。

家が落ち着いたらまた来ればいい。


魔女の森は広い上に迷いの術がかけられていて、魔術師がいなければ迷ってしまう。

魔術師がいても、魔女が認めていなければ住むことはできない。

幸いリリーアンヌは魔女と知り合い、この森に住んでもいい許可を得ていた。

学園時代、困ったことになる前に助けを求め協力してもらったことがあった。

その時のお礼にと渡した手作りの菓子が気に入られて、

将来レオと別れることになったらここに住んでもいいわよ~と言われたのだ。


まさか本当に住むことになるとは思っていなかったのだけど…。

レベッカ、予知はできないはずだけど、まさかね?





「この辺にしましょ。森が開けているし、湖も見える。」


景色の良い平地を見つけ、マジックハウスを設置する。

この家を使うのも久しぶり…。


「姫様のおうち、久しぶりですね~また広くなりました?」


「そうかもしれない。

 魔術書を全部収めようと思って、

 一階の壁際に本棚を設置したらこんなことになって。」


玄関を入ると広いフロアがある。

あまりにも広いので、壁際に本棚を並べてみた。

集めている魔術書がいっぱいになって、

王宮の私室に置けなくなってしまったからだ。

そうしたら、まるで本屋のような雰囲気になってしまった。

並んでいるのは全て魔術書なので、読めるのは魔術師だけなのだけど。


「ん~いっそのこと、お店でも開きます?

 姫様の料理なら、人も集まるんじゃないですか?」


「そうね…。

 あまり人は来なくていいけど、3人で生活するんじゃ少し寂しいよね。

 それじゃあ、魔術師だけ来れるお茶屋にでもしようかな。」


「…無理だと思うけど。」


「ん?シオン、何か言った?」


「…いや。二人とも私室は二階にするんだろ?

 俺は一応護衛のこともあるし、一階にするよ。

 二人はどこの部屋にするか、決めてきたら?」


「わかった。シーナ、行こう!」




「多分、すぐ迎えに来ちゃうだろうけど…ね。」


二階の部屋にむかってシーナと階段を上がっていた私に、

シオンのつぶやきは聞こえていなかった。






さてと…レオに手紙を送っとくか。今ごろは必死で探しているだろうし。

多分、何が何だかわからずに、ものすごく慌ててるんじゃないかな。

まぁこんな騒動になったのは、レオが隙を見せたからでもあるし、

姫さんの気持ちが落ち着くまで、あきらめてもらうしかないな…。

なんでそんな隙なんて見せたんだ?お前らしくもない。

レオ、早く何とかして迎えに来いよ。



「はぁぁぁ。ようやく落ち着いたと思えば、またこれかよ。

 レオ、しっかり捕まえといてくれよ…。」


深いため息は誰に聞かれることもなく、一階のフロアに響いた。

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