第4話 昔の良き思い出

登場人物

・おっさん…筆者

・彼女 …元カノ


皆様こんにちは。


私はSPOONと言う音声配信特化型の配信アプリを使っています。

いえ、自分で配信するとか、そんな烏滸がましい考えは今は湧きません。

とは言え、過去には連日連夜このしょーもない声でしょーもない配信をしていた事もありました。

まあ、若くはありませんが若気の至りみたいなもんです。

それでも、おっさんの恥ずかしい過去の配信を知ってる人は、たまに「配信をしないのか?」と聞いてくるもんです。

ま、年に一度位はしようかなと、そんな風に思っておりますが、どうなりますやら…


おっさんが初めてSPOONで配信をした当時は、ちょうどコラボが始まって間もない時期でして、バグは多いですけど楽しかった記憶があります。

アレなんです。配信を始めると、脳内でスイッチが切り替わるもんでして、おっさんの場合は基本マシンガントークになります。

コメントは基本読むけどあんまり拾わず、まあ何と応援し辛い配信だったなと。

他枠にコラボで上がる事も多かったもんです。色んな恥ずかしい話を喋りました。例えば象さんパンツ持ってた話とか…

そんな中、とある枠がファン数何人だか突破したお祝い配信で上がった際、テーマが「恥ずかしい話」だったか「怖い話」だったかで、おっさんは「空飛ぶ電子レンジ」と言う話をした事があります。

アレです。世の中は進歩しました。無人で車が走るし、ドローンがプロ顔負けの空撮をするし、アレクサはアレクサ音頭を歌うし、電子レンジが空飛んだっていんじゃね?


今は昔、おっさんは仕事で全国を(大都市をメインに)数ヶ月から数年で飛び回ってた事がありまして、この話の当時は東京の中野に住んでました。

この当時はおっさんにも彼女がおりまして、いわゆる同棲生活を送っていたのです。

付き合い始めならともかく、ある程度一緒に過ごすと、男って奴はどうにも「いかがわしい本やビデオや、当時は新しかったDVD」なんかにうつつを抜かす生き物でございます。

現代なら無料で幾らでも動画が転がってますが、当時はネット創世記でございます。買うしかないのです。

それも彼女にバレない様に、です。

ある日、郵便受けに1通のDM…いかがわしいビデオやDVDの通販の案内でした。

ただでさえ同棲中で、その様な魅惑の物体とは縁遠い生活でしたので、物凄く便利な世の中になったなと感嘆したものです。

今になって思うと、その手の通販を謳う詐欺通販の可能性が高いのですが、元々怪しい通販大好きなおっさんでございます。

しかも、電話でオーダーすると、1時間以内に持ってきてくれると。何とお客様目線に立った良いお店なのでしょうか!

感動のあまり、つい注文してしまいました。

決して「彼女以外の裸体を拝みたかった」訳ではなく、

「そんな素晴らしい店舗を応援したくなった」からでして、皆さんがお考えの様なすけべジジイとかではありません。

その辺はお間違えなき様。


かくして魅惑の品は届き、彼女不在時のお楽しみも増え、さてこれをどこに隠そう?

生半可な場所だと、彼女が部屋を掃除した際に発見されるだろう…

そう考え、引越し後未開封だった荷物のさらに奥底を隠し場所に選定。割と頭はキレる男です。


それから数日後…


おっさんが仕事から戻ると、彼女は既に帰宅しておりました。

ただいま、の声に返事はありません。

別にその時はなんとも思わず、ドアを開けて部屋に…

彼女は正座しております。

こっちを見てます。目が座ってました。

そして、テーブルの上に「あれだけ苦労して隠したムフフDVDがテーブルの上に1枚残らず綺麗に並べられて」いるではありませんか!

その瞬間におっさんは、自身の敗北と近未来に起こりうる修羅場を覚悟しました。

とりあえず、下手な言い訳は逆効果だと身をもって過去に何度も何度も何度も何度も何度も味わっております。ひたすら謝ろう…

徐に彼女が立ち上がりました。

仁王立ちです。次の瞬間…

彼女が大粒の涙を流し始めます。

そして、彼女はこともあろうか

「大泣きしながら着衣を全て脱ぎ捨てました」

何かを考える心の余裕とか、もう16万8000光年の彼方、気分はすっかりイスカンダルです。次に、彼女は徐に魅惑の品を1つ手に取ると

「あたしとすれ以下自主規制」

などと言いながら、魅惑の品を投げつけてきます。

まあ、パッケージ投げられても大して痛くはありませんが、その時は恐怖と言うか狂気を感じまして、

無意識に部屋中逃げ回りました。部屋中全裸で追いかけ回され、魅惑の品を不定期で発射され。

ふと気がつくと、ベランダに出る窓の手前まで追い詰められていました。

彼女の目からは、いつの間にか涙は消えており、怒りの感情が見て取れます。

何故か彼女が「電子レンジを抱えてこっちを睨んで」いらっしゃいます。

恐らく彼女の性格からすると、電子レンジは発射されるだろう事は理解しました。

でも、流石に痛いだろう、と。

石崎くんばりの顔面ヘディングで防ごうもんなら、もう軽く流血沙汰です。

彼女が持っているのが包丁でない事を神に感謝した次の瞬間。


あー

電子レンジって飛ぶんだー


よく、死ぬ間際の出来事はスロー再生って言いますが、まさに走馬灯のごとく電子レンジがこっちに向かってきます。

考えるより先に身体が動き、電子レンジを回避します。

気分はすっかりマトリックス。おっさんはミスターアンダーソンの生まれ変わりかもしれない…いや、マトリックスってこの頃はまだ無かったんですけど。


ガッシャーン


え?


窓際に追い詰められた状態で電子レンジ投げられて、避けたらそりゃ電子レンジは窓にあたってガラスも割れるってもんです。


その後、割れたガラスの掃除をさせられた後に正座して数時間程有難い法話を拝聴し、

ワイヤー入りで無駄に高い窓ガラスをしかも夜間割増で直す費用に12名様弱の諭吉を旅立たせ、

その後も彼女のご機嫌を麗しい物にせんがため諭吉を数人費やし…


…ここで皆様に、おっさんから人生のアドバイスを1つ。


電子レンジは意外と飛距離伸びるよ


そんな訳で、本日のつまんない話はこの辺で。お読み下さってありがとうございました


2022 1/5

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