第6話「規格外な女の子」
柔軟してると先輩たちがやってきたので、皆で挨拶をする。
「おはようございます、リクさん!リョウスケさん!」
「おっすハルト!なんだ、もう皆でアップ始めてるのか?」
側面にチェックのロゴ有りの黒いスニーカーに、
緑と茶色を合わせたような色のボトムス。
黒のシャツに、深い緑色の帽子を被っている。
俺にブレイクダンスを教えてくれた尊敬する師匠のリク先輩だ。
「おざまっすリョウスケさんとリクさん!」
「おはよっす2人とも!マジ今回のバトル凄かったわぁ〜!」
この人はセシルの師匠で、いかにもダンサーっぽい服装が目立つ。
ダボっとしたズボンにパーカーとお洒落なサングラスまでかけている。
「ミキコさんおはようございます!!」
「ミキコ先輩おはっす!先日のバトル勝てたんですか!?」
少し奥でリオとユウカが踊り場にやってきたミキコさんに挨拶してる。
今日もシャツを結んで、おへそを出してるなあの人……。
「おはよ、リオにユウカも。残念ながら決勝戦で負けちゃったよ」
「それな、マジで相手チームのアイツ上手過ぎてヤバかったわー。トップロックの仕方もめっちゃ攻撃的で引くレベルだったし」
今時にもそんなダンサーが居るのか……。
最近スポーツ化も進み始めたブレイキンでそんな奴はもう珍しくなったからな。
「へー、そうなんですかリクさん?どんなダンサーですか!?」
この通りで先輩たちは共に県外のチームバトルに向けて忙しかったから、
新入生発表会のパフォーマンスは完全に俺たちが任されたというわけだ。
「向こうにBBOYリンっていう、とにかくチェアーが凄い奴が居たんだ」
「うんそれでね、私もリョウスケも完全に抑えられてボロ負けしちゃった」
この3人を打ち負かせるだけの実力の持ち主なんて、絶対に只者じゃないぞ。
この先輩方が組んでいるチームは、それなりに有名なのだが……。
「アイツのチェアーで回る動きマジで凄いよな、あれは完敗だったわ」
「そんな凄いパワームーバーが居たんすね!!今度動画見ますっ!」
セシル同様に俺も是非チェックしておきたいものだ。
この3人を負かせるくらいだから、
単にパワームーブが上手いだけじゃないんだろう。
「そんなことよりも!ハルト!?新入生ちゃんと入ってくるんでしょうね!?」
「……もちろんですよ!俺のムーブで生まれた黄色い声援凄かったですからね」
「ふん!どうせまた派手な動きでもして会場わかせたんでしょ?……とにかくうちのジャンルに本当に誰も来なかったらぶっ殺すからね!!」
ほらミキコさんまたそうやって……。
「だからそういう顔しないで下さいって、眉間に皺寄せてちゃ美人が台無しですよ……?」
「……ハッ!?ホントうるっさいわね!余計なお世話よ!」
いや仮に誰も来なかったとしても、俺に何の原因があると言うんだ!?
「大丈夫だぜハルト。1人は必ず来るだろうからな」
「え、リク先輩なんでそう言い切れるんすか?」
「……まあ、お楽しみは後に取っておくよ。後で体験入部の時間が始まるから、そのときのお楽しみだ」
そう言うとリクさんも柔軟し始めたので、俺たちもアップを続けた。
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「さて、これからダンス部を体験してもらう。俺が部長の
アップも終えて練習をしていると、踊り場に新入生達が続々と入ってきた。
俺たちの時と同様に先ずはジャンル分けする前にダンスの基本中の基本である、音取りとアイソレーションから教えていくのだろう。
「質問は無いようだから、今日はダンスの基礎である音取りとアイソレーションを教える。その前に、先ずは柔軟をしようか。運動前の柔軟は欠かせないからな」
俺たちがブレイクダンサーが練習してる場所からは反対側にあるため、
その様子がモロに見えて、俺は気になったので耳を傾けてみた。
「よぉ、ハルト。やっぱり新入生達が気になるか?可愛い子多そうだもんなぁ?」
近年になってストリートダンスの部活が普及に始めたのは事実だが、
多くの場合は男子禁制や部員の9割が女性だったりする。
「からかうなよセシル。にしてもやっぱり女子多いよな」
うちのダンス部でも幽霊部員が何人かいるものの、
他ジャンルも計算に入れると男女比は1:9の割合なのだ。
男子が1番多いジャンルは俺たちブレイキンなのが現状だ。
「よし、柔軟はこれくらいにして、今から音取りを教える。音取りは、カウントに合わせてダウン、アップをしたらステップを踏んでいくぞ。今から流す音に耳を傾けてくれ」
すると部長達と新入生がHIPHOP式のアップダウンを取り始めたようだ。
体育館に洋楽を響かせながら、部長が解説しつつもお手本を見せる。
「ダウンのコツは、上手く腰を使い、身体を前後に動かすようにして身体を後ろにノるようにする」
確かにダンスでDJが流す音楽をよく聞くために音取りは大事だが、
部活で皆と一斉にやるアップ以外には、完全にサボっているな。
『ブレイキンがあまり音取りやアイソレを取り込まないジャンルだから、音楽性がお粗末でダンスじゃないだろ、って馬鹿にされるのが気に入らないんだよな』
「それじゃあ音楽に合わせてアイソレやっていくぞ。さっきも言ったが、すぐに出来るもんじゃない。始めは何となくでいいから俺たちの真似をしてみるんだ」
アイソレもダンスの基礎として大事な要素なのは間違いないが、ブレイキンでは使える場面が極端に少ないから、俺たちはブレイクダンサーは全くやってなくてサボることにしているなぁ。
「ハルトくん〜?いったいどこを見てるのかな〜?」
「……はい、ごめんなさいクルミさん……」
女性の胸と腰のアイソレを見ると魅力的な部位が凄く強調されるから、
気がついたら他ジャンルの先輩方をジロジロ見てしまってたようだ。
いかんいかんトーマスの練習練習と……。
--
「お、へ〜?君たちがブレイクダンス志望の新入生たちか?俺は3年生のリョウスケだ、宜しくな2人とも。にしてもまた珍しいことだな……」
1時間後に部長が新入生達に基礎を教え終えると、新入生達に希望するジャンルの元に行って体験させてもらえと言ったので、皆それぞれ移動していった。
「ふ〜ん、女子もがブレイクダンス習いたいなんて、あなた物好きだね!!……君もほんとにダンス習いたいんだね……ビックリしたよ。名前は何て言うの?」
すると2人の1年生が来たので、先輩達が直接彼らに教えることになった。
ちなみにリクさんは只今休憩していて、飲み物を買いに出掛けている。
「き、
目視で暫定Cカップの女子だ。茶髪のロブ型が目立ち、全身が黒に統一されてる服装と暗めだが顔が可愛いぞ。身体つきもダンス経験者だと一発で見抜ける程に、女の子な部分以外の全身が無駄なく削ぎ落とされてるイメージだ。
「……僕は
こっちは男子で眼鏡を掛けており、失礼ながらも体型な丸まってて恐らく人生でまともに運動と向き合ったことが無いのだろう。……まるでダンス部に入部したばかりの自分自身を直視してるみたいで、親近感が湧いてくる奴だな。
「うんよろしくね!あたしのことはミキコと呼んでね〜!」
『女子と喋るのが苦手なのか、露出が多めな格好をしてるミキコさんに照れてるし。マジであそこに立ってるのは、まるっきり過去の俺じゃねえか……!!』
「あの……3年生のブレイクダンサーは3人だと聞いてるのですが……もう1人は居ないんですか……?」
「お、来たようだなサユリ!!」
「あ、お兄ちゃん……!!」
「……は?」
「「「「「え〜っ???」」」」」
すると1年の女子が帰ってきたリクさんを見るやその胸に飛び込んでいって、
頭をよしよしされてるようだ……ってんなことより、リクさんに妹だと!?
「あ〜お前らに今まで言ったことなかったっけ?俺実は妹が居るんだよね」
「早く言わんかボケが!!しかもめっちゃ可愛いし!!」
「マジか!!ちょっと私たちにまで隠し事とかやめてよねリク!!」
これは衝撃的な事実だぞ。そういえばリクさん他府県から来たんだっけ。
「アハハ悪ぃ悪ぃ。改めて紹介するよ、妹のサユリだ。口下手な一面もあるけどダンスは物凄く上手なんだ、これからも仲良くしてやってくれ」
「……はい、先輩方の皆さん、改めてよ、宜しく御願いします……」
緊張してるのか、確かに喋る時に吃っててメチャクチャ可愛いぞ……!
それにしても、彼女やはりダンス経験者だったか、物凄く上手そうだ。
「サユリちゃんね!あたしのことはミキコって呼んでね!改めて宜しく!」
「俺は2年生の星宮陽翔だよ。これからも宜しくね……サユリさん?」
「……!はい、宜しく御願いします、ハルト先輩……!」
『うおおおおおおなんていう甘美な響きだ!!年下の女子から先輩呼ばわりされるのってこんなにも気恥ずかしくてもどかしい気分になるんだな。やば……っ』
特にそのくりっとした大きな両目で見つめてくるのは反則だろ……。
謎に庇護欲を掻き立ててくる、魅惑的な何かを感じてしまうんだが。
ちなみに、俺だけ練習をサボって先輩達の方に寄ってきたのだが、
リクさんからの衝撃的なカミングアウトが響いたのか、皆が寄ってきてサユリと自己紹介をし始めたようだ。全く、俺もそうだが好奇心が旺盛な奴らだな。
「さてと、そこのお前もブレイクダンスが習いたくてここに来たんだな?」
「あ、はい!あの……僕は村上ヒカルと言います、宜しくお願いします!」
忘れてた、そうだ今って1年生の仮入部期間だったんだから、
これから体験を始めていくのだろう。……いや普通に始まるんだろうか?
「ヒカルか。お前がブレイクダンスに興味を持ち始めた理由を聞いても良いか?失礼だが今までは積極的に運動と向き合おうとしたことが無いんじゃないか?」
出会って最初は俺もビックリしたが、相変わらず容赦がないなリクさんは。
恐らくこれからアレが始まるんだろうと思うと、可哀想に思えてきた。
「あ、はい。全くその通りです。……僕も本当は高校生になってからも毎日無難に映画を漁る生活を続けるつもりだったんですが……見てしまったんですよ」
コイツが何に感銘を受けたのかは知らないが、かつての俺もそうだったからな。
たまたま道端で繰り広げられていたブレイクバトルを見て、興味持ったんだ。
「その……部活紹介のパフォーマンスで……ほ、星宮先輩の踊りが凄くて、僕もどうしてもあんな風に踊れるようになりたいって強く思いました!!」
「お、俺!?」
マジか……まさかこの人の人生を変えるきっかけが俺だったなんて驚きだ。
しかもこれは……何かしらの創作活動をする人間にとって最高の褒めだぞ。
芸術家にとっての最大の喜びとは、自分の活動が有名になることよりも、
自分の活動が他人の人生に良い影響を及ぼして、
その人の人生をポジティブに変えることなんじゃないだろうか……。
「えへへ〜良かったねぇハルっち?めっちゃ嬉しいでしょ??うりうり〜」
「良いなぁハルト!ウチもいつかそんな風に言われてみたいわ〜」
こら俺を肘で突っつくなよニヤケ顔が止められないだろ。
いやぁ面と向かってそんなこと言われると、
本気で頑張った甲斐があるなと痛感せざるを得ないものだ。
「なるほど、お前はハルトのようなダンサーになりたいんだな」
「は、はい!その通りです、宜しくお願いしますリク先輩!」
……だが俺とセシルは知っている。この後リクさんがやることを。
何せ俺もセシルもこれでしばらくは辛い思いをしたんだからな……。
「ああ、勿論これからブレイクダンスの基礎を教えていくさ。けどその前に確認するぞ?おまえ倒立はできるか?」
「え、倒立ですか?……いえ、マット運動でも全然できてませんでした」
ああ、やはり今年もそうするんだな、リクさんは。
幸い俺の時は女子の方には口出しをしなかったのがせめてもの救いだった……。
「リ、リク……やっぱり本当にやらないとダメ?」
「口を挟間ないでくれミキコ。なら、先ずはお前に倒立を習得してもらおう」
リオとユウカにクルミまで去年の出来事を思い出したのか、
ヒカルからさりげなく目線を逸らし始めたようだ。
「わ、わかりました。……けどなぜ倒立からなのかを聞いても良いですか……?」
「それはブレイクダンスに倒立を土台にした技が多いからだ。ハルトが得意とする2000や他にもジョーダンのフリーズ、エアフレアなどがそうで、倒立がヘボいと話にすらならないんだよ」
リョウスケさんもダンスと来たらストイックな人間だから口出ししない。
俺も今後に向けて大事だとは思いが、初日からは厳し過ぎると思うんだよね。
「……確かにそうですね……どうすればできるようになるんですか?」
「仮入部期間中にみっちりと教えてやるから安心しろ。この3日間が終わったら、お前には入部試験を受けてもらうぞ」
「試験……ですか?」
「ああ、内容はシンプルだ。あそこの白い線と、奥にある白い線が見えるだろう?お前にはこの体育館の端から端まで、倒立で歩いて貰うぞ」
この体育館の正面から見て左端の線から、
右端の線までおよそ20メートルの距離がある。
誠に可哀想に思えたが、こいつには必要なことだから応援してやろう。
「……え、マジですか?無茶じゃないですか!?」
「いや、そんなことは無いぞ。何せここに居るハルトもセシルも、それを乗り越えて今こうしてかっこ良く踊れてるんだからな」
『確かにあの頃もリクさんは俺たちに倒立ができるまでつきっきりで面倒を見てくれたんだが、俺は耐えられずに一度逃げてしまっていたんだっけか……』
「それにお手本ならサユリがやってくれるぞ。……その通りだ、やってくれるか?」
「え?ちょっとリクさん!?」
「……うん、わかった。……見ててね……」
サユリさんもあまりにあっさりと返事したものだからビックリした。
もしかして彼女はラビットなど縦系の技が得意なんだろうか?
よほど自信があるのか1ミリとも動揺していない。
左端の線まで移動すると、一声かけて足を振り上げた。
「じゃあ、行くね」
「うん……って、」
「「「「「「はっ!?」」」」」
オイ……これは現実なのか……ほっぺたをつねっても夢から覚めないぞ。
他のジャンルを踊っている人たちまで、その光景に唖然としている。
「……マジかよ、おい……」
なんとサユリが足を振り上げたのは、真っ直ぐじゃなくて斜め上にだ。
両足を開脚させながらその両腕で、自分の身体を宙に飛ばしているのだ。
「……エアフレアで歩いてる……!?」
そう、本当に信じられないのだがサユリはエアフレアしながら前進したのだ。
海外のダンサーの動画でそんな技をやってる人もいるのは事実だが、
そんな高難易度な技を、俺より年下の女の子がサラリとこなしているぞ!?
「「……ぁ……っ……」」
セシルとユウカなんてあんぐりと口を開いて固まってるぞ……。
通常のエアフレアをやる難しさを体験してるからこそ、
サユリがどれほど難しいことをしてるのか感じられるものがあるんだろう。
「……ふーっ……」
気がついたらサユリが向こうの線まで辿り着いたので、
少し息を整えながら歩いて戻ってきた。
「……あ、あんた。本当にすごいんだねぇ……ハハハ」
「うわぁ俺完全にサユリちゃんにパワームーブで負けてんじゃん……!」
最早サユリが別次元の存在だと感じたのかミキコ先輩が、
嫉妬を抱くことを通り越して、もうそういうもんだと信じ込もうとしてる。
「ふふっ……ありがとう、ございます……」
「どうだ、うちの妹の凄さを思い知ったか!?フハハハハハ……!」
「マジでヤバいっしょ……!!……とんでもない兄妹っすね!!」
マジかよ、物凄い身体的な負担を負うような運動をやってるのに、
体のスタイルを女性らしく美しいまま保ってるってどうなってんだよ!?
「サユリっちマジでヤバいよ今のん!?今度砂っちにも教えて!?」
「……サ、サユリちゃん本当にとにかくす、凄いね……」
「あ、あれをやっておいて凄いスタイル綺麗な美少女とかズルくない!?」
そりゃ同じ女性として嫉妬で燃え狂っても仕方なかろうな。
いかにも天に恵まれたような遺伝子をお持ちの方のようだ……。
「諦めろリオ……世の中、上には上が居るもんだよ。サユリちゃん本当にブレイクダンスと真摯に向き合ってるんだな。パワーだとこの中で一番凄いよ」
「……っ!あ、ありがとうございます、……ハルト先輩……!」
『グハっ……あかんわこの子可愛過ぎる。明らかに身体能力で俺を圧倒してるのに、その喋り方と上目遣いでギャップ萌えが激しすぎて悶えちまう……!』
「さてと、ヒカルくん。これで倒立歩行は不可能じゃないとわかって貰えただろう?この3日間で俺がみっちり指導してやるから安心しろ。という訳で俺はヒカルくんを隅の方で指導していくから、皆は練習を始めてくれ」
リク先輩の号令で、俺たちはサユリと共に移動して練習をすることにした。
最後にこのような会話を聞きながら、練習スポットへ戻る。
「……いやいや、アレは人間業じゃないでしょう。それに、本当に僕なんかが出来る様になれるもんなんですか!?」
「なんだお前、もうやる前から諦めるつもりか?2000ができるようになりたいんじゃなかったか?女の子に力で屈し、行動する前に言い訳を必死に探そうとして、あまつさえ夢を墓場まで持っていく
「……ッ……」
アハハハハ、ダンス部の仮入部期間からマジで容赦ねえなリクさん……。
けど俺のように踊りたければ、それを乗り越えて行くんだなヒカル……。
「うわぁ……相変わらずめっちゃ煽るなあの人……」
「まあ、リクさんだし仕方ないっしょお……。俺も部活体験の初日からなんてどうかと思うけど、あのおかげで俺もお前も強くなれたんだからよ……」
思い出すなぁ……1年前の俺を。
俺もあの人の挑発につい逆ギレして、1度逃げて部活を1週間も休んだんだっけ。
「ヒカルくん、投げ出して逃げちゃわないと良いけどね〜」
「……本当にそうだよね。ハルトくんも一回はそうしたけど、それを乗り越えて一気に強くなれたんだから……今は皆で見守りましょう……」
「うんそうしよ……ウチらは普段通りに練習していこっか」
ああ、そのときから俺はクルミにお世話になりまくってたんだっけ。
あのときのことを思い出して、俺はクルミに耳打ちする。
「改めて、あの日からずっと俺に寄り添ってくれて有難うなクルミ。本当に助かってるよ」
「……ふふっ。どういたしまして、ハルトくん」
俺たちは互いに目を細めてクスっと笑い、サユリを交えて練習を再開させた。
隅っこの方でリクさんがヒカルくんに壁倒立を指導してるようだ。
『リクさんの試練を乗り越えてみせろ、ヒカル……』
皆でそんな彼を見守りながら練習すること、3日間。
ついに1年生の仮入部期間が終わり、
ヒカルの入部試験が始まろうとしていた……。
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