11,洗いっこ
「あっ、ああっ! ひゃめっ、ひゃめてえぇ!」
「こちょこちょこちょこちょー! ここが気持ちいいのかいお嬢ちゃん!」
「別に、気持ちよくなんかっ」
「じゃあここはどうかなぁ?」
「あっ……」
石鹸の香りの混じった湯気がもやもや充満する狭い浴室で仲良くからだを洗いっこする彩加と秋穂。彩加はスポンジで秋穂のからだを擦っている最中、ふとそれを手放し両手で秋穂の胸を揉み始めた。
今夜は母が留守ということで、彩加は秋穂を誘ってお泊まり会を開いた。築三十年、3LDKの決して広いとは言えない平屋の借家だが、ひとりぼっちは心細いのだ。
「もう、彩加ちゃんはいつからこんなに大人びたことをするようになってしまったのかしら」
浴室を出てタオルで髪を拭い、少し顔をむっくりさせながら嫌味を言う秋穂。
「スキンシップだよ。ちっちゃい頃だってよく抱き付いたじゃん」
「でも卑猥な行為には及ばなかったわ」
「だって、秋穂ちゃんがどんな反応するか知りたかったんだもん」
語尾を上げてルンルンと言う彩加の表情には一切の邪念がなく、それを見た秋穂は、彩加ちゃんらしいと諦めて溜め息をついた。
タオルから続いてドライヤーで髪を乾かし終えた二人は、三人で囲うとちょうど良いサイズの焦げ茶で年季が入った円卓に向かい合い、粉を溶いたスポーツドリンクを透明のプラスチックコップに注ぎ、一気に飲み干した。特に秋穂は彩加に身体をいじくられて水分を余計に消費したため、彩加よりいくらかペースが早かった。
飲み終えたところで、二人は居間の小さな写真立てに収められた彩加の父に線香を炊き、夜の女子会が始まる。
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