1-2
湯あみを終えて出ると、春らしい
(わたしが触れて
ドレスには手を触れず、フェルリナは自身の
しかし、どこにも見当たらない。
「あの、わたしの寝間着は……」
仕方なく外に
「わ、わたしが着てもいいのですか……!?」
「お気に召さないようでしたら、別のドレスをお持ちしますが」
「そんな、とんでもないです! ぜひこのドレスを着させてください!」
「……はあ」
リジアは
しかしフェルリナはそれに気づかず、
――人質である皇妃が、
しかも、こんなに上質で
しかし考えても仕方がないので、
「とっても、素敵だわ……」
全身鏡の前に立ち、ドレスを着た自分の姿を
白地に小花柄が可愛らしい
こんな素敵なドレスをもらって嬉しくないはずがない。
腰の後ろのリボンを結ぶのが難しかったので、
ふわふわと波打つ長い髪をそのままに、フェルリナは外に出た。
「ご準備できましたでしょうか?」
「はい。あの、こんな
「はあ、お気に召したようで何よりです」
リジアは湯上がりそのままの髪と、少し
「こちらは初夜のために特別に
とうとう拷問部屋へ連れていかれるのかもしれない。
フェルリナは
(なんて広いお城なの……!)
結婚式の後は緊張もあって周りを見る
皇城内の通路は入り組んでいるため、今いる場所がどこなのかすぐに分からなくなってしまう。
後でしっかり覚えなければと思うものの、目印になりそうな置物や
「こちらがこれからお過ごしいただくお部屋でございます」
案内されたのは、緑を基調とした美しい部屋だった。
奥の部屋には
湯あみやドレスだけでも信じられなかったのに、この
窓に
どう見たって拷問部屋ではない。
そうでないにしても
「あの、本当にここがわたしの部屋なのですか?」
「はい」
「……えっ、でも、その、ここは自由に出入りができますし、テラスからは庭園が一望できて、なんでも
フェルリナの問いに、侍女たちは顔を見合わせている。
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