二十一話「恋人繋ぎ……ってこんなにもドキドキするんだね」

「パパママ! 動物さん! 動物さん!」

「そうだね動物さんだね。つーちゃん。沢山今日は沢山見ようね」

「うん。動物さん〜! パパ。ライオンさんいる?」

「いると思うぞ。ほら、肩車してあげるからおいでー」

「やったー! パパ大好き!」

「パパも大好きだぞ翼」

「えへへ」

「ふふっ」

 動物園の入場の件を買って戻ると桜が家族連れの方を眺めていた。

「お待たせ……ってどうした?」

「ん? いや、仁と小学生の頃に行ったときのことを思い出して」

「あぁ……」

 そう桜と俺の両親とで一緒に動物園に行った思いでがやっぱり鮮明に覚えている。

 桜の笑顔が可愛いかった……。

「行ったな……」

「じゃあ今日は、二人きりだね」

 桜がこっちを見るとニコッと笑っていた。

「そう、だな……デートだもんな」

 今は2人きりで桜と初めての恋人としてのデートだ。

「うん……」

 桜が小さく頷き、手を握ってきた。

「――っ!」

 握ってきた方の手を思わず見てしまい桜の小さい手つきで温かい感触が俺の手を包んできた。

「デート楽しもうね」

 顔を赤らめてこっちの方に視線を送ってきた。

「おぉ……」

 思わず返事と戸惑いが混じってしまった声が出てしまう。

 そして改めて桜の手を握り、空間のあった空気をなくすように強く握りしめた。

「――っ!」

 桜の顔を見ると驚いた表情をしていた。

「悪い、痛かったか?」

「……いや、仁にこうして手を繋いでるのが好き、です」

「――っ! お、おぉ……」

 返事と嬉しさの吐息が混ざってしまった声が出でしまった。

 密着してる俺の手がめちゃくちゃ熱く感じていて心臓の鼓動が早くなっていた。

「じゃあいくか」

「うん……」

 一緒に係員さんにチケットを渡し園内の方へ入っていく。

 園内はカップルとか子供連れとかめちゃくちゃ多かった。

「多いな」

「そうだね……」

 桜が肩をトンとわざとぶつけてきた。

「――っ!」

「仁とこうして一日手を繋いでいるから迷わないね……」

 桜の小指が俺の間に指を入れてきて、

「……」

「――っ!!」

 くすぐったいと同時に目の奥がガンガンに冴えて目が開いているのがわかりそのまま桜の手を握ると感覚的に桜の指が交差してるのがわかった。

「……」

 そして桜が次の指を交差しようとゆっくりと滑らせ俺もわかっている感覚で手を開いて指が薬指も指の間をいているのがわかった。

「……っ」

 かつてないほどに心臓の鼓動が鳴りっぱなしだった。 

 バックン、バックン!

 そして中指も同じように指の間にゆっくりと入れてきて、指を重ねて、恋人繋ぎになっていた。

「……んっ」

 桜の声を我慢している声が漏れて嬉しそうにこっちを見てきた。

 交差している指を強く握りしめてニコッと笑っていた。

「……っ」

 目がめちゃくちゃ泳ぐほどに桜の手と顔を見て数秒ぐら見つめていて恥ずかしくなり逸らしてしまうほど心臓が高速で鳴り響き渡る。

「……ふぅ」

 頭がガンガンに鳴り出しているのがわかった。

 自分の手のひらで桜の手をひらを擦って手を握り返した。

「――っ!」

 桜の方が俺の腕に当たってきた。

「……大きいね仁の手のひら」

「桜の手が可愛いからだよ」

「――あぁっ!」

 声が漏れているのがわかって視線を下の方に向けていた。

「恋人繋ぎ……ってこんなにもドキドキするんだね」

「そうだな……」

 今もなお鳴り響き爆発するんじゃないかというぐらいに凄かった。

「……最初はどこに行く?」

「やっぱり仁と思い出があるライオンがいいな」

「わかった。最近はライオンを見に行こうか」

「……うん」

 そのまま2人で少しぎこちない歩きになりながらライオンがいるエリアへと向かった。

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