二十話「えっとね………動物園とかってどう?」
「すぅ……んんっ」
桜の寝顔で目が覚めた。
頬は少しよだれが垂れているがこの寝顔を毎日、見るのは飽きない……。
「……」
今日は桜と待ちに待ったデートの日だ。
自然と口がニヤける。桜と手とか繋いで歩くとか想像した心臓がバックン、バックンと鳴り響いているのがわかった。
「ん、んんっ……」
すると桜がモゾモゾと動くゆっくりと目を開けた。
「おはよう仁」
「おはよう、桜」
「……えへへ、うん」
桜がほほ笑んでいた。
「それじゃあ仁のために頑張って朝ごはん作るから待ってて」
ゆっくりと体を起きそのままキッチンの方へと歩いて向かった。
俺は自分と桜の布団をたたみ。キッチンの方に向かった。
「なんか手伝うことある?」
「それじゃあさらに乗っけてある目玉焼きの持っていってくれる?」
「わかった。ご飯もよそって置こうか?」
「ありがとう! 助かる」
目玉焼きの皿を並べて、ご飯と飲み物を用意をした。
「ありがとう。それじゃあ食べよう」
お盆を手元に持っていて上に味噌汁を運んでいたて、その味噌汁もテーブルの上に置き。桜も先に座りお互い手を合わせた。
「いただきます」
「いただきます……」
そしていつもの朝の楽しみと言っていいほどの味噌汁を一口飲む……。
「……うん」
このほっこりとする味噌の香りが効いた味わい。ワカメも美味しい……。
「本当に桜の味噌汁は美味しいな」
「えへへ……そう言ってくれると嬉しい」
桜の方をみると顔がニヤニヤとしていた。
味噌汁とご飯を口の中に頬張りモグモグと咀嚼して飲み込むと胃の中が暖かく感じる。
「あぁ……美味しい」
「良かった」
「桜の味噌汁を毎日飲めるなんてな……桜と告白する前の俺に言っても絶対に信じられないだろうな」
「ねぇ。数日前の私も仁と同棲していて味噌汁を仁のために作ってるなんて言っても信じてくれなさそう」
「なぁ、でも本当に嬉しいよ」
「……えへへへ」
桜が物凄く笑っていた。
「それで今日のデートってどこに行くんだ?」
「えっとね………動物園とかってどう?」
「動物園?」
「うん、そう……」
桜がちいさくうなづいていた。
「仁とアルバムを見て行きたくなっちゃって。違うところにしたかったら変えるよ……初めてのデートだから」
「動物園でいいよ。桜との初めてのデート」
「――っ‼︎ いいの?」
「いいよ。動物園」
「ありがとう………やった!!」
桜がめちゃくちゃ嬉しそうに何度も上下に拳を振っていた。
「でも、動物園か……桜と一緒に行ったよな」
「……そうだね。小学生の頃だよね」
「そう、ライオン見たの覚えてるな……」
「あっ覚えてる!」
小学生3年生の頃に桜の両親とウチの両親揃って動物園に訪れたとこはあった。ライオンとか眠そうにしていて桜が小さい雄叫びで「がぉー」と吠えているのは今にでも可愛く覚えている。
「桜ライオン鳴くかな」
「ガォー!!」
「おぉ出た桜ライオンだ」
「えへへ」
桜ライオンは今にでも健在だった。
「それじゃあデートは動物園で決まりかな」
「うん……えへへへ」
少し熱々のベーコン目玉焼きに口の中に頬張り。俺と桜はそれぞれ服に着替えていた。
俺は先に着替え終わりテレビを付けながらサイフとか携帯とかバックの確認をしていた。
「仁。お待たせ」
「あっはいよ……。…………っ」
ガチャと部屋から出て桜の方を見るとなんというか雰囲気が変わった。
「どう?」
「………」
目を奪われるほどに可愛くそして、
「綺麗だ……」
言葉が自然と出てしまうほどに綺麗だった。
「……えへへ。良かった。それじゃあ行こう」
桜がそのままこっちに近づき手を握ってきた。
「……あ、あぁ」
俺はテレビを消して、桜の手をしっかりと握りしめて家を出た。
「えへへ……」
無邪気のそのツインテールを靡かせながら電車に乗り動物園の方へ向かうのだった。
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