第2話「花子さんの真実」

「はーなーこーさーん。あっそびましょー」

女子トイレの3番目を3回ノックしてこの言葉を言うとトイレのドアが空いて引きずり込まれると言う噂。これが私、流川花子るがわはなこの全盛期の時に流行った話。

でも、あの話の真実は違うわ。

あれはそう、1890年頃かしら、私がまだ幼い時だったわ。

「この本中々面白いわね。ここのトイレはいつも人が少なくて静かで本を読むのに最適」

「やばい、早く隠れないと!」

「誰か来たみたいね。残念ながらここのトイレは私のいる個室以外は鍵が壊れてて入れないのよね。他を当たれば良いわ。」

ドン!ドン!ドン!

「おい、開けろ!誰か入ってのんか!さっさと出ろよ!」

「は?こいつ何言ってんの?頭いてるのかしら、今気づいたけど、こいつ男じゃないの!?何普通に女子トイレ入ってるのよやばいやつじゃない。女の敵ね!」

ドン!ドン!ドン!

「黙ってねぇで早く開けろよ!くそっ!早く開けろやがれ!早くしねぇと警察が来ちまうだろうが!」

「こいつマジでウザイわね。私のプライベートを潰したことを後悔させてあげるわ」

ドン!ドン!ドン!

「おい!いい加減に開けねぇとこのドアぶち破るぞ!」

「はーあーい」

「チッ、やっと喋りやがったか!早く開けろよな!大人しくしてれば何もしねぇからよ」

ギィーーーーー

「全く、どこのガキだよ!大人の言うことはさっさと聞きやがれよな!って、あれ?誰もいねえじゃねぇか!」

「いるわよ。貴方の後ろにね。」

「ひっ!」

「あら、さっきの威勢と違って、結構可愛い声出すのね。まぁ、もう貴方の声を聞く人は誰一人としていなくなるのだけど」

「お、お前一体なんなんだよ!」

「私?私は花子よ。昔ここで死んじゃった 可哀想な女の子とでも言っておくわ。」

「は?じゃあ俺は今幽霊と喋ってんのか?」

「そうよ。さっきまでは関わりたくなかったから声を聞こえないようにしてたんだけど、 アンタが私のプライベートを邪魔したから この世から消してあげようと思ったのよ。」

「へぇー、幽霊なんて人間に触れねぇ癖にどうやって消すってんだよ。脅しにならねえ」

「何を言ってるの?私の手は既に貴方の服を掴んでいるのに?」

「何?本当じゃねえか!話せよっ!くそっ!触れねぇじゃねえか!」

「幽霊はその気になれば人間に触れるけど、 人間からは幽霊に干渉出来ないのよ。」

「んだよそれ!理不尽にも程があるだろ!」

「そうね、でもアンタはその理不尽に残念ながら消されるのよ!女の敵め!私の能力で トイレの中をあの世と繋げたわ。さっさと流してあげる。あんたの顔なんて、もう二度と見たくないからね。」

「おい!ふざけんな!助けてくれよ!」

「ダメよ!さっさとあの世に流れなさい」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」

「全く!生きてても悪霊よりタチの悪い奴」

これが昔の話ね。この後何故か知らないけど最初に言った噂が出回って何度も何度も私のいた学校に子供が来たのよ。そのうち私もムカついて子供たちを何人かあの世に引きずり込んじゃったけど。若いゆえの過ちよね。

でも、一番困ったのはトイレを変えても、私は学校のトイレにしか移動できないから、子供があの時は絶対面白がって来たのよね。

そんな私も今はほとんど忘れられてて、ちょっぴり寂しい反面、結構助かってるのよ。

プライベートを邪魔されることがほとんど無くなったしね。でも、最近他の怪異の子達とあって、無理やりその子たちに付き合わされて学校にいる側から行く側になっちゃった。

まぁ、別に良いわ。今がたのしければ。

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