Past Memories
朝輝夜空
01:Reunion
「簡単に説明すると後遺症の様な物ですね」
「後遺症……?もう治らないんですか?」
「今のところはなんとも、なにせ新しい病ですので」
親と医者のこんな会話を今でも覚えている。五年近く前から、俺は後遺症、能力を手に入れた。
毎朝の日課、ランニングをして家に帰ってきて郵便受けを覗くと一通の封筒が入っていた。その封筒の中には手紙が入っていた。誰からなのだろうか。俺に手紙をよこすやつなんて思いつかないが、それ以上に疑問に思ったのは、封筒には宛名はなく白紙だったということ。
つまり、わざわざご丁寧に自ら俺の家まで来て届けてくれたということだ。
玄関を開けリビングのソファに腰掛け早速手紙を見てみる。
わたしたちに手を貸して下さい。
と書いてあった。その文の下には地図があった。なんの事だかさっぱり見当がつかない。イタズラという可能性もあるが、イタズラならこんな無駄に手間をかけないだろう。
「暇だし行くだけ行ってみるか……」
地図の場所の建物の所までやって来た。見てみると飲食店のようだ。普通に客もいるし入った途端に拉致られてなにかされるとかいうことも無さそうだ。そんなことを考えるのは俺だけだろうか。
カランカラン
重みのある年季の入った木の扉を開けると……
「いらっしゃいませー、お好きなお席へどうぞ。」
何となくカウンター席に腰掛けると、店の奥から意外な人物が出てきた。
「え、優依?」
「ん?あ、海斗じゃん!来てくれたの?」
小学校低学年くらいの頃から会ってない幼なじみ、
「え、う、うん。まあ……」
「ありがとう!」
かなり呆然としていた。確か最後にあったのは小二くらいだ。今が高一だから、七年ぶりとかだ。まあいいや。と意外と割りきれた。そんなことより……
「助けて欲しいとか書いてあったけど、俺に何か用があるのか?」
「うん。この喫茶店ね、わたしのお姉ちゃんが経営してるんだけど、最寄りの駅が改修されたのに合わせて駅の周りも色々と新しくお店とか出てきたんだけど、それの影響で売上が右肩下がりで、色々頑張ってるんだけど相当厳しくて、海斗のお父さんも喫茶店やってるから何かいい案だしてくれないかなって思ったんだけど……」
「ふーん、まあ分かった。親父に相談してみるよ。」
「いやー、ほんとに助かるよ。ありがとね」
コーヒーを一杯と飯を食っていなかったのでパンケーキを頂いて家に帰った。
メニューを見ただけでほかの店との競走に負けてる理由がわかった気がする。シンプルにメニューが少なすぎる。店にもよるだろうがメニューが何ページもある店がある中、一ページ半で収まる程度の数だった。でもまあ、素人がごちゃごちゃ口出しするもんじゃないだろう。
日も沈んできて部屋の中が暗くなってくると
ガチャ
「ただいまー」
親父が帰って来た。親父の喫茶店は夕方頃にはもう閉めている。だからいつも帰りが早い。
夕飯でも食べながら昼間のことを相談してみるか。夜ご飯は喫茶店で働いているということもあって、親父がいつも作ってくれる。
「なあ、親父。話したいことがあるんだけど」
「ん?どうしたんだ」
昼にあったことを話す。
「ふむ、なるほどな。その店はどんな店なんだ?」
店の雰囲気や、やけにメニューが少なかったことなどを話す。
「一旦、海斗が考えてみたらどうだ?」
全く予想していなかった言葉が返ってきた。
「え、なんで?」
「その手紙にはお前の名前が書いてあったんだろ?なら、海斗が考えてみろ」
「わ、わかったよ」
夕飯を食べ終え自分の部屋に戻り考える。
メニューが少なかったのは原因の一つだろう。店員の対応が悪かったということもなっかたと思う。
店の中がシンプルすぎた気がするな。そういえば、店の外のに看板がなかったな。看板があった方が入りやすいだろうな。
また明日、学校が終わったら行ってみるか。
「ふぁ〜」
ちょっと早いけどもう寝るか。
ピピピピ ピピピピ
目覚ましの音で目を覚ます。いつもより長く寝たからなのか、やけに目覚めが良かった。
朝五時半。ウォーキングをするため少し早めに起きる。
このままいつも通りの一日が始まった。
ただ一ついつもと違うのは、今日から高校生と言うこと。
学校に行き自分の名前を確認し、指定された教室に行くと… 優依がいた
まじか、同じ学校なのか。しかも同じクラス。
なんとなく声をかけておくか。
「よお優依」
優依がこちらを振り向くと
「ん?え、海斗?」
びっくりするだろうなと思ったら、案の定びっくりしてくれた。まあ、びっくりというか、ポカンとしていた。
この後何事もなく学校が終わった。新学期初日だったこともあり昼頃に終わった。
「ねえ海斗、良かったら一緒にお店来てくれない?」
特に予定もないし、まあいいか。
店に入ると
「あら海斗くん、久しぶり〜」
と優依のお姉さんらしき人がいた。
「もしかして
そう問いかけると
「正解!」
やっぱりそうだった。とか思っていると、遙香さんが
「昨日の今日で申し訳ないんだけど、お願いがあるんだよね」
「なんですか?」
「この喫茶店で働いて欲しいの」
・・・
「はい?」
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