売物の碧眼
藤波 融
1.
この街はカラフルだ。太陽を掻き消すほど汚いくせに、ギラギラ輝く。路面だって、ほら、カラフル、マダラ。吐瀉物、死体、キラキラ魅せるパッケージ。元の景色は教えてくれない。
他人の思い出、怒鳴り声。嗚咽、ため息、喘ぎ声。この場所には、すべてがある。 今日もうるさく、ガチャガチャと。お金でサービス、大声セールス。
「選り取り見取り、感情全色ございます」
いつものことだ、今もそうだ。僕は通りを歩いていた。大人どもは、僕には目もくれない。金がないって知っているから。大人と子供は住む世界が違うから。表通りと裏通りのように。
見世物を見にいった。大人に目を付けられないようにこっそりと、輪の外側から覗いた。
碧い目だ。
中心に、碧い目の少女を閉じ込めている檻。汚い大人たちが、食べ物で彼女と遊んでいた。彼らには人も肉の塊。人間の見世物は、別に珍しくもない。傍に値札が置かれていた。見世物、売り物。
なぜだろう。同情かもしれない。ただの自分の欲かもしれない。僕は、その碧い目を買いたくなった。
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