助手は錦秋に影を追う

涌井悠久

プロローグ

 時刻は17時半。日が傾き、空があかね色に染まり始める頃。遠くの山には煌々こうこうと燃えるような紅葉が見える。


 私の足元には力なく倒れるこの街の住人。


 私はあと何回人を殺せばいいのだろう。もう人を殺すことに躊躇ためらいもなくなってしまった。


 体中がぼろぼろになってきて、徐々に足元がおぼつかなくなってきた。そろそろ時間かな。


 意識が混濁こんだくしてきた。今にも倒れてしまいそうだ。


 人を殺せばいずれ解放する。彼らはそう約束してくれた。まだ果たされることはないけれど。


 その希望だけを胸に、私は包丁を片手に街をめぐるのだ。


 そこで私の意識は途絶えた――。

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