人たらし


「髪切ったん? かわいいね」

「爪きれい! 俺、その色好き!」


あーもう、全くこいつは。すぐ平気でそういうことを言う。

言われた女子の顔見てみろよ、真っ赤だろ。

そんなことは梅雨知らず、にこにこと笑っている。さすがあだ名が王子だよ。


「お前ってほんと人たらしだな」

正直に言うと、俺は半分拗ねていた。あとは尊敬。

まあそんなこと絶対言わないけど。

「ん? 何が?」

振り返ったあいつはあからさまな笑み。全く、どこが王子だよ。

黙る俺、ニヤニヤするあいつ。

「安心して? お前が一番好きだから」


あーもう、そういうとこだよ。

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