猫又商人-人と妖-
夏艸 春賀
声劇台本
《諸注意》
※なるべくなら性別変更不可。
※ツイキャス等で声劇で演じる場合、連絡は要りません。
※金銭が発生する場合は必ず連絡をお願いします。
※作者名【
※録画・公開OK、無断転載を禁止。
※雰囲気を壊さない程度のアドリブ可能。
※所要時間約15分。男1:不問2の三人台本です。
《役紹介》
森の奥でひっそりと暮らしている
三毛の山猫だったが、聖域と呼ばれる山で育った為、猫又になった
不問
名もない男
猫又商人の噂を聞きつけて山に迷い込む人間
年齢等はご自由に
N
ナレーション
雰囲気を大切に
不問
《配役表》
商人(不問):
男(男):
N(不問):
↓以下本編↓
────────────────────
N
「ここは
男
「(息を切らしながら。)……そろそろの、ハズなんだがな……どこなんだ……」
N
「男は呟く。その呟きに応えるように何かが声を上げる。それは予告もなく男の前に現れた。大きな大樹の根元、ぽっかりと大きな穴が開いている、その傍らに居るのは一匹の
男
「……狐?……うっ、何だこの、匂い……!」
N
「ふわりと辺りに漂うのは、今までに嗅いだ事の無い
男
「く……う。……俺は……ここで、帰るわけには……」
商人
『──……願いは、にゃんじゃ?』
男
「ひっ!……だ、誰だ?!」
N
「音は突然、男の脳内に直接響く。性別も老いも若いも判別の出来ない音。思わず男は頭を抑えるが、ふと視線を感じて大樹の方を見遣った。するとそこには何かが
商人
『願いがあるにゃら早ぉ言わぬか。儂も暇ではにゃいんじゃぞ?』
男
「あんた、誰なんだ……」
商人
『儂か? 儂はただの商人。人間、
男
「商人……もしかして、猫又、商人……?」
商人
「
N
「軽く明るい笑い声と共に霧が晴れる。そこは先程、
商人
「儂に用があるにょに腰を抜かすにょか。人間は
男
「猫が……喋って……」
商人
「昨今珍しくもにゃんともにゃいじゃろ」
男
「……」
商人
「まぁ良い。して、願いはにゃんじゃ?」
男
「願い……そ、そうだ、願い……! 俺は、欲しいものがある!」
商人
「言うてみぃ。対価があればにゃんでも
男
「……なん、でも……」
商人
「ふむ、にゃるほどぉ?……相分かった」
男
「……へ?」
商人
「少々手間取るやもしれんが用意は出来る。また来る事が出来るにゃらば渡そう」
男
「えっ……うわっ!」
N
「突然の突風。男は思わず両目を閉じてしまう。次に目を開けた時には、森の入口付近まで飛ばされていた。もう一度森に入り込んでも何かに阻まれているかのように戻ってしまい、男は仕方無く帰宅する事にした」
商人
『全く……人とは
N
「男の脳内にそんな言葉が飛び込んで来た気がした。それから数日後、男は普段と変わらぬ日常を過ごしていた。男には好意を寄せている女性がいた。その女性との関係を深くしていく内に、ふと唐突に思い出す。とある場所へ行き、願った『もの』を受け取らなければと。衝動に駆られるまま、男は記憶を頼りにその場へと向かった」
【間】
男
「……ここ、だよな……?」
商人
『……おぉ、
男
「えっ……?」
商人
「流石にもう、驚きは──」
男
「うわあ!」
商人
「──するんじゃにゃあ……人間とはほんに
男
「え、……猫、又……商人?」
N
(※商人役が女性の場合)
「男の目の前には丸眼鏡を掛けている妖艶な美女がいた。その頭には猫のような耳、腰骨辺りから
(※商人役が男性の場合)
「男の目の前には丸眼鏡を掛け、どこか胡散臭い雰囲気がある顔立ちの整った青年がいた。その頭には猫のような耳、腰骨辺りから
商人
「応、如何にも。さて人間。願いは
男
「は、え? いや……願い?」
商人
「そう、願ったであろう?……『彼女の心が欲しい』と」
男
「……いや、あの……あんた本当は人間?」
商人
「ぅん?……嗚呼、こにょ姿にょ事を言うとるにょか。本来にょ姿よりもこちらにょ方が
男
「あ、あぁ……そうなのか」
商人
「ほれ、願った
男
「はい、えっと……あ、ありが──ヒィッ!!」
N
「放り投げられたものを両手で受け取る男。ビシャリ、と濡れた感触と生暖かなソレは、人の心臓だった。まだ微かに鼓動を感じてしまう程にリアルな質感と、温度と重量感と、匂い。男は恐怖からか、受け取ったものを地面へと落としてしまう」
男
「しっ、し……心臓!?」
商人
「煩いにょぉ。間違ってはおらんじゃろ?」
男
「いいいいや、し、心臓って!!?」
商人
「人間、お主は願った。心が欲しいと。
男
「はぁ!? いやいやいや、心と心臓違うでしょ!! なに、考えてんだよ!!」
商人
「願いを
男
「なんだよ心臓って!……つか……え? ってことは……彼女は……」
商人
「
男
「……ッ!!!」
N
「恐怖に震えていた男は今度は怒りに震える。商人は良い事をした、とばかりに晴れやかな表情で微笑んでいる。怒りに任せて走り出す寸前、足元に落とした肉の塊を踏み付け、鮮血が
商人
「全く……折角用意した
男
「ッ……ふざけんな……人を殺しといてそんな……」
商人
「儂は殺しとらん」
男
「はぁ!? だって心臓だぞ?! それ盗られたら人は死ぬんだぞ!?」
商人
「嗚呼、それは知っとる。じゃが、儂は殺しとらん」
男
「だからぁ!! くりぬいたって……」
商人
「見てみぃ」
N
「そう言って商人は大樹に左手を
商人
「儂は動かにゃくにゃったとは言った。
男
「…………ま、待てよ……え、なに……」
商人
「儂は殺しとらんよ」
男
「……や、やだ……あ、ぅ……嫌だ、あぁ……」
商人
「お主が踏み付けた
男
(聞きたくないと思った所から好きに遮ってください。)
「ああああああああぁぁぁ……ッ!!!!」
N
「
【間】
商人
『願いはにゃんじゃ?……言うてみぃ、対価があれば、にゃんでも
終
※後書きのようなもの※
初めましての方もそうでない方もこんばんはおはようございますこんにちは、夏艸でございます。今回はこの作品を読んで頂きありがとうございます。
これは、自作で書いているセリフのキャラクターを膨らませた結果、出来たものです。演者の方々それぞれに思う猫又商人をして頂ければ幸いです。
猫又商人の口調はとても言いにくいかと思いますがそういう言葉遣いでしか話せませんので、頑張って頂きたい……!
猫又商人-人と妖- 夏艸 春賀 @jps_cy729
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