第2話
「え、迷宮の調査ですか?」
冒険者たちが集まる冒険者ギルド。
ようやく中堅くらいまでなれたオレたちは、ようやくその存在をギルドの受付嬢さんに覚えてもらったくらいの、
本当に駆け出しの冒険者だ。
一応周りを見回す。
自分と、その仲間の義賊のニコしかいない。やはり自分たちにお声がかかっているという事で間違いないようだ。
「え、でもオレたち……まだ新米ですよ?」
まだ冒険者になって半月くらいですよ?
「はい。でも、危険度はそんなにない迷宮のようだというか……ともかく、お2人なら大丈夫かと」
「はあ……」
「ともかく、こちらがその依頼書になります。最終判断はお任せしますが、報酬も国から支払われますし、
一度目を通していただけると有難いのですが」
「わ、わかりました。とにかく目を通しますね。通してみますね。」
受付嬢から手渡された、数枚の羊皮紙を受け取った。
依頼内容は、とても簡素だった。
入るたびに形の変わる、不思議な迷宮がこの街の近辺に突如として現れた。
何なら入っている最中でも構造が変わるらしい。
出てくる魔物は弱い者が多い。しかし不気味なので、早々に調査、攻略し、
迷宮の主を討つべし。
「どーするん?シン」
確かに、今のところ確認されている出現する魔物は、ゴブリン、コボルト、スライムなどなど、脅威と呼ばれるモノはいないようだ。
でも、入るたびに……それどころか、入ってる間にも構造が変わる迷宮。
そんな面倒くさい所、上級冒険者は面倒くさがって引き受けないだろうし、
かと言って新米のなりたてには少し荷が重い。
構造が変わって、迷宮から出られなくなると、いくら雑魚相手でも命の危機だ。
だからこそ、最近やっと中堅っぽくなった自分達に話がまわってきたのだろうか?
「うーん。ニコはどう思う?」
「そら受けるかどうかやったら、受けるの一択やで」
構造変わるとかおもろいやん!と、目をキラキラさせている。
そういえばコイツ、マッピング苦手だったな。
いつも前衛のオレが何故かマッパーしてるんだよな本当に謎。
つまりはマップ覚える必要が無いから、すごく乗り気なのか。
いや、そうじゃなくてだな。
「何つーか、上級冒険者たちが面倒くさがって受けないのはわかるんだけど、報酬が破格すぎないか?」
そう、報酬なのだ。明らかに0が1つ多い。
「そんなん、国からの正式な依頼やからやろ?」
「でもこの額なら、上級冒険者たちの中にも受けるってPTいそうじゃないか?」
「やから国からの依頼やからやろ?善属性限定で依頼でも来たんちゃう?」
なるほど。この幼馴染は、抜けているようで根っこはしっかりしているんだよな。
……特に、お金に関しては。
「なら、受けるって受付さんに言うて来るわー。」
そうしてオレたちは、この未知の迷宮調査を引き受けることになった。
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