87話 リュウガvsレイ
運命の宿木のSランクではないメンバーは依頼をひたすらこなして各々の実力UPを目標に、Sランクと龍たちはひたすら手合わせをして互いの実力をUPを目標にする日々を繰り返していた。
(一応強くはなってる。この時間が無駄とは言わないがやっぱ神を相手にするとなるとぶっちゃっけ足りないな)
リュウガは厳しく今のメンバーたちの実力を判断する。厳しいかもしれないがこのまま戦争が始まるとリュウガとウェンとスイ以外は死ぬ。何だったらウェンやスイですら死ぬ可能性が高い。そんな状況を冷静に分析しているリュウガ。
(とはいえ俺も偉そうに言える立場じゃねぇんだよな。ギールスを殺せたのはぶっちゃっけ運の要素がデカいんだよな)
ギールス戦は龍帝、フルールドリス、グレーストといった面々の協力があった。何よりギールスが大雑把に攻めて来てくれたのが良かった。おかげで『死双閃』を決める事が出来た。しかし、
(やっぱりこのままじゃ駄目だな。死双閃は必中、絶殺の技だが構えが独特だから邪魔される。何より地面に刀を滑らせるという特性上空中じゃ使えない)
死双閃は最強の技だ。発動してしまえば生きてさえいれば何者であっても死は避けられない最強の技。これによってリュウガは龍帝、ギールスといった強敵に勝っていった。そんな最強の技も発動がバレバレという弱点を抱えている。
(雷速で動ける龍帝みたいな
龍帝にも似たような技がある。それも構えでバレるという弱点があるにはあるがそれは雷速で動ける龍帝には弱点とならないのだ。
(かといって『死双閃』は絶対に戦争で勝つには必要な技だ。今よりも更に磨きをかけるしかないな)
ふ〜と息を大きく吐くとルイと2人がかりでスイと手合わせしているレイに、
「頑張ってる所悪いんだがレイ、お前今日俺と立ち会ってくれ殺す気で」
お願いするのであった。それに対して、
「ちょっと! それズルくない? 何であたしじゃないのよ!」
突っかかるルイに、
「戦闘スタイルの問題だよ。それにレイは『死閃』を使える。本家には劣るがそれでも人間のトップとして君臨出来るだけの技を持ってるから今俺の問題点を解決するなら
「こちらとしては願ってもない事ですよ」
こうしてリュウガvsレイが始まろうとしたが、
「サブマス? 刀は使わないんですか?」
リュウガは刀を持っていなかった。
「安心しろよ。刀は使わないが真面目にやってやる。遠慮せずに殺す気で来いよ」
「それなら参ります」
瞬時に間合いを詰めると抜刀術で首を狙うレイであったが、
(早い! バックステップでかわされた! しかも本当にギリギリ当たらない距離だけ! これじゃかわした事も気づかない人間がいてもおかしくない!)
逆に抜刀術の打ち終わりで隙だらけとなった所をリュウガの正拳突きが襲いかかる。それに対して無理矢理防御する。
「ぐぅ!」
直撃は免れたがそれでも凄まじい衝撃が防御越しに伝わってくる。
(軌道を逸らすように受けなければ左腕を砕かれていましたね)
それだけの衝撃を受けてもレイは攻める。下手に様子見したりしたら圧倒的に格上であるリュウガに攻めつぶされて終わりとなる。それでは立ち会いの相手に選ばれた意味がないからだ。しかし、
(当たらない! 全部の攻撃が紙一重でかわされる!)
レイの剣速は国内最速。否、世界でも頂点に位置している。リュウガや龍という桁違いの存在を除けばだが。そんなレイに残された手はやはり、
(アレしかない。それにサブマスもそれを望んでいる。だからこそ反撃は最初の1発だけ)
見様見真似であるが今となってはレイの最強の技となっている『死閃』。
「貴女ならどうしますか? ルイ?」
観戦しているウェンが同じく観戦していたルイに聞く。
「やっぱり発動させないに限るんじゃない? 発動したら回避出来ないし。あの独特の構えを取るために一旦距離をおくから遠距離の攻撃で邪魔するわね」
ルイの考えは正しい。実際レイの見様見真似の技で本家に劣る。リュウガや龍鬼なら遠距離攻撃の邪魔ごと相手をぶった斬る。しかし、レイの『死閃』では相手まで斬撃が届いても致命傷には至らない。ルイのような防御力の高い相手だとダメージ源としては心許ない。
「そうですね。そこが致命的な弱点です。主様もそれを分かってるのでレイの技を見て自分の技の改善点を探すためにレイを手合わせ相手に選んだのでしょうが(正直レイでその改善点を見つける相手には物足りないでしょうね)」
厳しいがそれだけリュウガとレイには実力差があるのだ。そして、
『死閃』
発動さえすれば回避不能の最強技をレイは発動するのだが、
(そんなバカな!? 過去最速の一撃だったというのに今のを逸らしたというのですか!! それも素手で!?)
超高速の斬撃であるが元々はリュウガの技だの上圧倒的な実力差があるのだから防がれるとは思っていたが素手で防がれるのは心に来るものがあった。悔しがるレイに、
「『死閃』は1人の時は使うなよ。使うにしても確実に相手を殺せる時だけだ。打ち終わりの隙が普通の抜刀術の比じゃないからな」
「はい」
「落ち込んでるみたいだが『死閃』がなくても今のお前なら天使位ならどうとでもなるんだ気にせずに頑張れ」
「ですがそれではサブマスの負担が大きいのでは?」
「いいよ。そもそもが圧倒的に不利な戦なんだ。気にする必要はない。それに改めて技の駄目な所が分かっただけ儲けもんだ」
「そうですか」
まだ少し不服そうにするレイ。
(ここら辺のメンバーのケアはやっぱりマイかゴウに任せるしかないのが俺の駄目なところだな)
そんな事を考えているリュウガの耳に懐かしい声が届く。
「ただいま〜。定期報告がてら帰って来たよ〜」
ギルドマスターであるマイ・クルルガが帰って来るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます