77話 冥府へ
いつものようにはじめたリュウガvsウェン&スイの白兵戦による修行が行われていた時の事だった。
「んっ?」
「またですか」
リュウガとウェンは異変に気づいた。その異変に気づいてしまったが故に隙となり異変に気づかないで攻撃してきたスイの攻撃に対しての反応が遅れてしまい完璧には防げなかったために危うく耳を千切られそうになる。
「あっぶねぇ!」
「隙を見せたのはいけませんでしたね」
「一体何に気づいたんですか?」
スイはまだ気づかないようだ。しかし、仕方ない理由がある。何せ、
「真反対ですかね。冥府の門が開いたのは」
「開いたのは分かったがそこまでの精度では分からなかったな」
「私は生命を司る龍ですからね。生命を脅かす存在である冥府の門には敏感なんですよ」
へ〜と感心する。ちなみにリュウガが気づいたのは死の気配を視る事が出来るために死の気配を漂わせる冥府の門に気づく事が出来るのだ。一応スイも距離が近ければその存在に気づく事が出来る。
「距離があるとはいえこうも高頻度で冥府の門が開くというのは冥府で何かありますね」
「普通に考えれば天界の神に関わってるよな」
と考えているとふとリュウガは思った事を聞く。
「冥府の王も神だよな? 天界とは仲が良いのか?」
「メチャクチャ悪いですよ」
「メチャクチャか。これまた何で?」
「死という絶対的ともいえる力を持っていたばかりに大神ゼーリオに喧嘩を売って破れてしまい冥府に閉じ込められたのです」
「じゃあ5年後の殲滅戦に冥府の奴らは関わらないのですね」
とスイが語る。そんなスイの言葉に、
「俺だったら漁夫の利を狙うな」
そんなリュウガの言葉に、
「そうですね。おそらく冥府から出たいでしょうからちょうど良い機会と思って攻めてくる可能性は高いです」
「そうなるとちょうど冥府の門が開いているし攻めたいが流石に無謀だよな?」
「そうでもないですよ。龍帝が骸龍を殺した時に巻き込まれていた骸兵も殺してるように雑兵なら主様クラスなら物の数じゃありません。警戒すべきは骸龍と王であるギールスですね」
「ギールスとのタイマンですら勝てるか怪しいのに邪魔が入れば確実に負けるし挑むだけ無駄だな」
「だったら龍帝と一緒ならどうですか?」
「え゛っ」
まさかのウェンの言葉に本気で嫌そうにする。
「念話してみますね」
「どうせ来ないだろうからする必要ないって」
「・・・・そうですか。感謝します。来てくれるそうです」
「・・・・あぁ、そう」
龍帝の実力は認めているが背中を任せてもいいのか不安が残るのだ。そんなリュウガの不安を無視して雷鳴と共に龍帝が現れる。
「わざわざすみませんね」
「気にすんな。誘われなくても行く予定ではあったからな」
「助かります。それでは主様と一緒に頑張ってください」
「・・・・こいつと一緒ってのは聞いてないぞ」
「言ったら貴方は来ないでしょ?」
「まぁな」
「それにいくら貴方でも単騎で冥府を攻め滅ぼすのは無理でしょう」
「ちっ」
認めたくはないが自分でも分かってるので舌打ちをするだけであった。
「私やスイでは冥府に行っても足手纏いになりますが2人なら問題ないでしょう。それにいざとなったら見捨てても問題のない間がらでしょう?」
「「まぁな」」
はもってしもい何とも言えない表情をする2人ににこやかな表情をしているウェン。
「それでは2人ともよろしくお願いしますね」
「それじゃあ行くぞ」
「おう」
リュウガは龍帝に抱えられる形で冥府の門が開かれた場所へと向かうのであった。とはいっても雷速なのであっという間の出来事であった。運命の宿木とは真反対の位置にある大陸にあるとある村に大きな冥府の門が開かれており既に骸龍により村民は1人残らず骸兵に変えられていた。それを骸龍ごと龍帝は雷撃により消し飛ばす。そして、
「突入するぞ」
「いくぞ」
「足だけは引っ張るなよ」
「テメェがな」
2人は冥府の門を潜るのであった。
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