17話 魔法学院
ある日
〜魔法学院〜
魔法学院とは四年制の育成機関である。マイとランもここの出身である。学院は街の北側にありそのデカさはギルド総本部に匹敵する物だ。
学院に着きまずは学院長に挨拶に向かった。
「お久しぶりです。学院長」
「今日はよろしく頼むよ。マイ君、いや今はギルドマスターと呼ぶべきかな?」
学院長は60後半程の長い髭のおじいさんであった。優しそうな顔をしているが学院長になる際に冒険者を辞めただけで魔法使いで初のSランク冒険者になった
「呼び方は任せますよ。ただ今日は講師を任せられているのでマイ先生の方がよろしいのでは?」
「ではそう呼ぶとしよう。マイ先生の仕事は1年補助魔法組の座学と実技をやってもらう。任せたぞ」
「はい」
魔法学院は座学で魔法の発動に必要な手順、魔法の歴史、モンスターの知識等を学ぶ。実技は魔法を実際に発動させるというものだ。
マイは自分の担当するクラスに着くなり異変に気づく。扉に魔法をかけて開かないようにしている。
『強制解除』
扉にかけられている魔法をあっさり解いた。教室に入り教壇に立つ。
「こんにちは! 臨時講師のマイ・クルルガです。今日1日だけではありますがよろしくね!」
マイの1日講師生活が始まった。
〜座学〜
座学は魔法発動手順について説明する事にしていた。
「魔法を使うにあたってまず最初にすべきなのは魔力の
例を出して分かりやすく説明する。さっきは扉にかかった魔法の魔力が少し漏れていたためマイは気づいた。
「魔力を制御出来ればよほど優秀な魔法使いでもない限り人や物にかけた補助魔法は気づかれません」
ちなみにマイは気づく側である。
「魔力を制御したら後は魔法名を唱えるだけです。魔法名を唱える事で魔力に力を与えているのです。そのため魔法名を唱えずに魔法を使うと、、」
マイは試しに浮遊魔法を使ってみせるが数cmしか浮いてない。本来は浮遊制限がないのだ。
「こんな感じで普段の効果を発揮出来ない。攻撃魔法使いなら不意打ちなんかに使えるから全く使えない訳では無いけど皆は補助魔法使いだからしっかり魔法名を唱えるようにしてね」
このように講義は続き座学は終了し昼休みに入った。昼休みに弁当を食べようと学院時代の特等席に行こうとしたら学院長に捕まった。
「久しぶりに一緒に飯を食べようか」
そう言われて学院長室で食べることになった。
「どうだい? ギルドの方は?」
「楽しいです。依頼も増えて忙しくはありますがメンバーが増えて楽しい毎日を過ごしています」
「モンスター討伐は?」
「出来るようになりました。安心してください。昔のわたしではありません」
学院長はマイのモンスター恐怖症が気になっていたが
「それは良かった。それではマイ先生、実技もよろしく頼むよ。」
〜実技〜
攻撃魔法と違い補助魔法や回復魔法は周りを壊す心配がないので座学と同じで教室でやる。違いがあるとすれば机、椅子は補助魔法を駆使して片付けることだけである。この段階でもたつけば実技の時間が短くなる。1年となるとやはりまだ手慣れてない様子だ。
「いまの片付けを見てたけど座学で言った事誰も実践してないよ。魔力の制御をせずに魔力をこめているだけだったよ。何も最初から完璧にしろとは言ってないから意識だけはしてね」
すると、1人の生徒が、
「発動出来てるから良いじゃねぇか。別にバレても良いだろ補助魔法をかけてる事ぐらい」
この意見に何人かは 「そうだ、そうだ。」 と口にする。
「バレても良いって言ったね。でもバレてしまうとわたしみたいに解除魔法をかけられてしまうよ。それでも良いのかな?」
「ならまたかけ直せば」
「それも解除されたらどうする? イタチごっこだよそれじゃ。だから魔力制御をするんだよ。それから試しに結界を張ってみて」
言われた生徒は結界を張る。マイはその生徒に近づき杖を振り下ろす。
パリーン
あっさり結界は割られた。
「今私は自分に強化バフをかけた訳ではなく杖に魔力を軽く込めただけだよ。魔力を制御せずに魔法を発動するとこんな事になるから魔力制御を意識する事。分かった?」
全員頷くしかなかった。その後、生徒1人1人が張った結界を評価し改善点を挙げていき実技の時間も無事終了した。
◇
実技の講義も終えて学院長室に終了を知らせた。
「ありがとう。これは報酬だよ」
依頼金を受け取り確認するマイに、
「どうだね? これからも週に1度臨時講師をやるのは?」
学院長からの提案を、
「嬉しいお誘いですが、わたしは運命の宿木マスターです。今回のような講師が休みといった場合に限りの臨時講師にさせてください。今はNo. 1ギルドを目指していますから」
楽しそうに笑って断る、マイに、
「野暮な事を言ったな。応援しているよ。運命の宿木を」
その言葉を受けマイは学院を後にした。
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