8話 ワイバーン再び! 戦うは天才魔法使い!?


 ハンザ・コルニスが加入して3週間が経った。その間、ソウとルイは手合わせもしくは依頼をひたすらに繰り返した。ハンザは依頼をこなしてはたまにソウとルイの指導を手伝ってくれている。ソウもルイも成長している。

 

(問題があるとするなら)


 と、リュウガはマイに視線を向ける。マイのモンスター恐怖症問題が解決していない。別に解決しなくてもマイは良くやってくれている。このギルドは森の中にある。それにも関わらずモンスターが近づかないのはマイが張った結界けっかいのおかげだ。それ以外にもギルドから街への道の整備も、水を引いてこれるのもマイの魔法のおかげである。


(とはいえ、ギルマスがモンスター討伐経験なしはNo. 1になる上では知られたくねぇな、他のギルドには)


 運命の宿木は5人という小規模ながらSランクが2人、Aランクが1人という質の高さから評判が良く、総本部からの依頼だけでなく、個人からの依頼も増えてるのである。


(スパルタになるが)

「ギルマス、ワイバーン討伐行くぞ」

「いいよ〜、、、、えっ?」

 

 

 ラグラグ山というギルドがある森から西に進むとある山でそこをワイバーンが縄張りとしているらしい。マイは当然嫌がった。そんなマイをリュウガは。リュウガはSランクであるワイバーンに恐怖せず戦えれば他のモンスターなど怖がる必要なしと考えた。だが相手はSランクのモンスター、リュウガは瞬殺したが他の人間はそうはいかない。ワイバーンの俊敏性に牙もしくは爪で殺られる


「無理だから! 知ってるでしょ! わたしがモンスター怖い事!」

「安心しろ。俺がお前を背負ってワイバーンの攻撃を全部避ける。お前は魔法を放つだけだ」


 これがリュウガがマイを背負っている理由だ。人を背負ってワイバーンの攻撃を避けるなんて普通は無理なのだがこの男はそれが出来る。ワイバーン、リヴァイアサンと討伐しているのだ。信じるしかないと、マイは腹を括った。恐怖を克服したい気持ちはあったし、ギルマスとしてメンバーを信じるのも仕事だ。


「おっ、来たぞ。ワイバーンが」

 

 余裕そうにしてるリュウガに対してマイは、リュウガの背で荒い呼吸をしている。


「それじゃ、お前のタイミングで魔法を使え。俺はお前を背負ってワイバーンから逃げ続けるから。」

「う、うん」


 背中から震えを感じる。無理もない、それでも、


「お前を守るのは別世界だけじゃなくこの世界でも最強の男だ。かすり傷どころか触れる事すらさせねぇよ」


 そう言うと走り出した。ワイバーンもそれを追う。凄まじい速度だ。しかし、リュウガはその気になればワイバーンを置き去りに出来るがマイに負担がかかるし、魔法の狙いをつけさせるためあえてワイバーンより少し速い程度に抑える。


(モンスターが近い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い!)


 そんな考えが頭を埋め尽くす、だが一向にワイバーンとの距離が


(凄い、本当にリュウは強いんだ!)


 自分のところのサブマスターの強さを感じ、気持ちが落ち着く。


(自分は運命の宿木ギルドマスターとしてギルドをNo. 1に導くんだ!!)


 その気持ちを胸に杖に魔力を集中させる。


『蒼雷』


 雷の最強魔法を放つ。放たれた蒼い雷はワイバーンに直撃する。Bランクのモンスターなら消し炭に成る程の一撃だ。しかし、相手はSランクモンスターのワイバーン。ダメージが入りところどころ焦げてはいるもののまだ倒れるには至らない。それどころかダメージを受けた事により激昂、加速して鋭い牙による一撃を見舞おうとするが、


「充分だ」


 そう言い、ワイバーンがいる方に向けを変えその勢いのまま、抜刀し首を落とした。リュウガが使う練式剣術の居合斬り、技の名を ‘神凪かんなぎ


 ドサッ!


 と、音がしてワイバーンの死体が落ちる。


「お疲れさん、ギルドマスター」


 緊張が切れたのか眠ってしまっている。そんなマイを見てリュウガは優しく声をかけ、ラグラグ山を後にした。


 

 

 

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