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停ることも無ければ、名前すらない駅。

当然車内にアナウンスは流れることもなく

ただ窓の外を流れては消え、流れては消えて……を繰り返す。


私はそれを疑問には思わなかった。

なぜならそれが当たり前なのだから。


駅を過ぎれば街が見える。

規則正しく並んだ家々やビルなどの建物。

黄昏色の空を映したかのように薄橙と黒紫に染まる海。

そして静かに街を見下ろし佇む山々……


目に映る風景全てが、つけっぱなしにした

テレビから深夜に流れる音の無い

古いモノクロの映画の様に、流れては消えていく。


興味もなければ関心もない。

ただ流れては消えていくだけだ。






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