22. 喧嘩
「みぃ、起きて。」
「うん。」
「おはよう。」
「おはよ。」
「昨日はごめん。」
「うん。」
結局、昨日はあまり寝れなかった。ほくに対する怒りなのか嫉妬なのかよくわからないけど、今はほくとあまり話したくない。
「あれ、美蘭だけ?おはよう」
「おはよう。」
「北斗は?」
「知らない。」
「2人喧嘩したの?」
「うん、ちょっとね。」
「そうなのね。」
いつも2人で朝ごはんを食べにくるから麻美ちゃんはすぐに喧嘩したって気づいたみたい。あまり聞かずそっとしておいてくれた。
「北斗もおはよう。」
「おはよう。」
ほくも下に降りてきた。
「みぃ、髪の毛結ぶ?」
「いい。自分でやる。」
「そっか。」
ほくはいつも通り接してくれてるけど、私はそんなことできない…。今話してるほくが別人みたいに思えてしまう。
「いってきます。」
「美蘭、いってらっしゃい。気をつけてね。」
「うん。ありがとう。」
今日は1人で学校に行くことにした。
「美蘭待って!」
「やだ。今日は1人で行く。」
「話しかけないから後ろにだけ居させて。」
「…。」
ほくが後ろからついてくる。多分、先輩のことがあって心配なんだろう。
「美蘭おはよー!」
「おはよう。」
「どうした?元気ないじゃん。」
「うーん、結衣、話聞いて…。」
「いいよ!空き教室行こうか?」
「うん…。」
まだ、朝のホームルームまで時間があったので空き教室で結衣に話を聞いてもらう。
「結衣…。」
「どうした。美蘭泣いてるじゃん…。」
「うん…。」
「北斗がなんかしてきた?」
「ほくが、他の人とキスしてた。エッチもしてたみたい。美蘭と付き合う前だけど。」
「え!?!?誰と?いつ?」
「初めは中1の時に中3の先輩としたらしい…。」
「他の人とも?」
「うん…。美蘭、全然知らなかった。ずっと一緒にいたのに。」
「私も、北斗は美蘭だけだと思ってたわ…。」
やっぱり結衣も知らなかったみたい。
「付き合ってたわけじゃないから、ほくが中学の時何しようと関係ないけどさ、なんか複雑。嫉妬するし、なんかほくが別人みたいに見えてきちゃうの。」
「それはそうだよね。でも、北斗が今美蘭のこと大好きなのは信じていいよ。過去はもう変えられないからしょうがないけど、浮気は絶対しないと思うし。」
「うん…。朝から全然話せてない。なんか、話す気になれなくて。」
「寛太に北斗と話してもらうように言ってみるよ。」
「ありがとう。」
寛太が北斗と話してくれるみたい。結衣は本当に面倒見が良くて優しい。
「美蘭、今日髪の毛セットしてないでしょ。笑」
「うん。ほくにやってもらうの断っちゃった。笑」
「やってあげる。クシしかないからポニーテールでいい?」
「うん。結衣ありがとう。泣」
「どういたしまして。北斗に美蘭を幸せにしなかったら殴るって言っといて。」
「分かった。笑」
結衣が髪の毛をセットしてくれた。結衣も幸せになって欲しい。
「美蘭、今日はお昼2人で食べよっか。北斗いると気まずいでしょ。」
「うん…。ありがとう。」
結衣が気を遣って2人で食べてくれた。結衣も寛太と一緒に食べたいはずなのに。
「そういえば、あの先輩たち謹慎になるみたい。」
「そうなの?」
「うん。いま、退学になるかは検討中らしいよ。」
「そうなんだ…。もう、会いたくないな…。」
「そうだよね。退学が妥当。」
しばらく先輩たちには会わなくていいみたい。良かった。少し安心した。
「美蘭ちゃん、大丈夫だった?」
「理沙ちゃん。もうだいぶ良くなったよ!ありがとね。」
お昼ご飯を食べ終わり、理沙ちゃんが心配して話しかけてくれた。
…
(北斗side)
「北斗、美蘭と喧嘩したの?」
「した…。」
寛太にはすぐバレた。
「お前何したの?」
「美蘭に、今までのこと言った。中学の時に、色んな人とヤってたこととか。」
「お前、言っちゃったの?」
「うん。」
「それで美蘭に無視されてるのか。笑」
「やらかした。」
「美蘭は純粋だから余計ショックが大きいんだよ。まぁでも隠されてる方が嫌かもね。今まで隠してたけど。笑 言って良かったんじゃない?」
「だよな。後々誰かに聞いて知ったってなるほうが嫌だと思って。」
みぃ相当怒ってるな。嫌われたかな。
「でも、最初の先輩はしょうがないって。あの状況だったら俺もヤるわ。その後のは知らんけど。笑」
「美蘭に嫌われたかな…。」
「まぁ、びっくりしてるだろうけど、嫌いになってはないだろ。全部話せば分かってくれるって。」
「今日、帰ったら話してみる。」
…
(美蘭side)
「美蘭、帰ろ。」
「う、うん。」
放課後ほくに話しかけられ、いつものことだけど一緒に帰ることに。
「みぃ、昨日はごめん。帰ったら聞いて欲しいことある。」
「うん…。」
帰り道もほとんど無言で帰った。ほくの話ってなんだろう。
「ただいま。」
「2人ともおかえりー!美蘭、学校大丈夫だった?」
「うん。先輩は謹慎だから学校きてないみたい。」
「そうなんだ。夜ご飯、もう少し待ってねー。」
「はーい。」
今週から私の家にほくが泊まる。ママもきっと喧嘩してることを麻美ちゃんから聞いたんだろう。気を遣って何も聞かれなかった。
「みぃ、ちょっといい?」
「うん。」
「昨日はごめんね。今までみぃに隠してた。」
「うん…。」
「俺さ、中1の時に中3の先輩に告白されて、断ったの。でも、その先輩からしつこく言い寄られてたの。」
「うん…。」
「で、その先輩が俺がみぃとずっと一緒に居ることに気づいたの。その後に、先輩の家に呼ばれて最初は断ったんだけど来なかったらみぃをいじめるって言われて仕方なく行った。」
「えっ。そうだったの…?」
中学の時にそんなことがあったんだ。全然知らなかった。
「それで、先輩の家に行ったらヤらないとみぃをいじめるってまた言われて、ヤった。それで、もう俺自暴自棄になって誘われたら先輩だけじゃなく他の人ともヤった。ごめん。」
「…。」
返す言葉が無かった。本当はほくが一番辛かったのに、何も知らずに怒って、ほくのこと無視して…。
「みぃ、どうした?泣いてるの?」
「ほく、ごめんなさい。」
「え?何が?みぃは何も悪くないよ。俺が悪いんだよ。」
「ほくが辛かったのに、何も助けられなかった。今日も1人で怒って無視して、ごめんなさい。」
「俺が悪いんだから、みぃは何も謝んなくていいの。」
ほくが抱きしめてくれた。ほくは全部自分のせいだって言ってる。
「ほく、大好き。ありがとう。中学の時、守ってくれて。」
「俺も大好きだよ。」
「もう、みぃのためにほくが傷つくことしないでね。絶対。」
「分かった。」
「ごめんね。今日怒って。」
「大丈夫だよ。俺もう嫌われたかと思ったわ…。笑」
「そんなことで嫌わないよ。笑 ただびっくりしてどう接したらいいかわかんなくなっちゃったの。」
「よかった。」
ほくにキスされた。
本当のことを知れて良かった。
「ほく、その先輩って誰?」
「山田先輩。」
「分かんないな。」
「美蘭ちゃんはそんな怖い先輩知らなくていーの。」
「許せないもん。みぃのほくなのに。」
「可愛すぎ。なにそれ。」
「ねぇ、もうみぃ以外の人とちゅーしたり色々しないでね?」
「もちろん。みぃに手出せてないけど。笑」
「ほくはみぃとそういう事したいって思う?」
「まぁ、好きだからね。でも、みぃは初めてだから今はまだしないよ。第一、みぃが可愛すぎて俺が何もできてない。笑」
「みぃはいいよしても。」
「えっ。」
「だって、先輩たちはみぃが知らないほくのこと知ってるのに、みぃだけ知らないの嫌だ。」
「そんなこと言ってると本当に俺手出すよ?」
「…うん。」
「ダメ。みぃは結衣に聞いただけでよく分かってないでしょ。そんなに焦らなくていいから。俺はみぃと一緒に居れるだけで嬉しい。」
「うん…。」
「もう、みぃ本当は怖いんでしょ。笑 手震えてる。笑 何もしないよ。大丈夫。」
「うん。」
先輩たちに嫉妬して、先走ってしまった。本当は怖いってほくにバレてた。
「2人ともご飯だよー!」
『はーい』
「みぃ、行こっか。」
「うん。」
「もう、泣いてないね。」
「うん!」
2人で一階に行き、夜ご飯を食べる。
「あれ、2人とも仲直りしたの?」
「うん。笑」
「よかったわぁ。」
「北斗、美蘭泣かせたら野宿させるぞ~。」
「はい、気をつけます。笑」
「もうパパやめてよ。笑」
「あ、そうだ。俺たち付き合ってる。」
「えっ。」
「えっ、びっくり!!知らなかった!おめでとう。ママは大歓迎よ。」
「俺もびっくりした。まぁ、他の男に取られるよりかは北斗でいいか。」
「なにそれ。笑 ありがとう実紅さん、美蘭パパ。」
「ちょっと、ママたちにいうなら先に言ってよ。美蘭もびっくりした。」
「ごめん。笑」
「麻美たちと親戚になれるわね。笑」
「ママ気が早い。笑」
ほくが勝手にママとパパに付き合ってることを言ってしまった。でも、2人とも喜んでくれたみたいで良かった。
「ほく、お風呂入ろう。」
「うん。」
ご飯を食べ終わり、お風呂に入る。
「あーテスト勉強しなきゃなぁ。」
「美蘭ちゃん、数学がなぁ。笑」
「数学無理…。」
「明日から本格的にテスト勉強やろっか。」
「うん。」
いつもほくが早めにテスト勉強を始めてくれるから少し余裕を持ってテストを受けられている。数学はできてないけど…。ほくがいなかったら、絶対勉強してない気がする。
「昨日やったところ解けてるじゃん。」
「良かった。」
お風呂から上がり、数学の勉強をする。
「ほく、これってどうやって解くの?」
「これは…」
「あ、なるほど!」
ほくの説明はめちゃくちゃ分かりやすい。
「ほく、眠い…。」
「そろそろ寝よっか。」
「うん。」
今日も2時間近く数学を勉強することができた。映像を見て寝ることにした。
「みぃ、おやすみ。」
「おやすみ。」
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