あなたの幻(イリュージョン)を追いかけて
須賀マサキ
プロローグ
第1話 (一)
その日、芸能界をひとつのニュースが
他社に
ファンたちが
消えたギタリストを捜すために。そして報道の裏に隠された真実を見つけるために。
☆ ☆ ☆
飛行機が着陸したのは小さな空港だった。離着陸する機体は少なく、のんびりした空気が
搭乗の際にあずけたスーツケースを受け取り、
エアリムジンを探していると年配の女性が「どちらまで?」と
ここに来たのはまちがいではない。この空の下に彼はいる。
そんな小さな確信が芽生えた。
半分ほどシートの埋まったエアリムジンに乗り窓際に座ると、バスはほどなく出発した。
路線には郊外型の店が途切れることなく並んでいる。都会の生活しか知らない沙樹は、地方都市を、一日もあれば充分まわれるものだと侮っていた。
「こんなに大きな街だったなんて。本当になんとかなるのかな」
自分の無謀さを痛感してついひとりごちたが、今さら引き返せない。
肩まで届く髪を明るく染めた青年がギターを抱え、楽譜を前に椅子に座り、カメラ目線で映っている。飾らない笑顔を浮かべている人物は北島ワタル——失踪中のミュージシャンで、沙樹の恋人だ。
いや、恋人だったというべきかもしれない。
それでもいい。中途半端なままで終わるのは嫌だ。沙樹は、にらみつけるようにワタルの写真を見つめた。
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