underground City
鈴トラ
prologue
2220年東京。
往来する人込みで
多彩な魅力と先進の機能を兼ね備え、多数のフィールドで活躍するエリート達が集まる東京丸の内。日本を始め他国からの協力の元、新たな組織が形成に近づいていた。東京駅の地下には、政府が管理するシークレットエージェント組織が『underground city』が存在した。生まれつき異能力を持つ純正の異能力者だけが地下都市で教育、訓練を受けて、最大限の力を引き出し使いこなせるように研究する組織だ。テロ行為の事前に防ぐためのスパイ活動やテロ行為に派遣され治安を守っている部隊と言っても過言ではない。
そして対立する組織『ビオス』
国家機密を人質にとりにあらゆる手段を使い、悲惨な人体実験を繰り返し行い、道理に反しドーピングを繰り返し、ハイブリットなエージェントを生み出す研究施設が天空の島に存在する。
『これからの時代には、選別された有能で美しい人間が未来を築き上げていく。そして進化をするのが目標だ。』とビオスの事実上トップの麻生ルドルフは声明を出し空に浮かぶ島ビオスを作り出した。
そして日本政府は、日本の敵、世界の敵とみなし、天空の島『ビオス』を日本から追放した。
八年前……
underground City《アンダーグラウンドシティ》が襲撃された。蠅の集団のような無数のドローンが侵入しあっという間に爆発、ドーピングで操られたビオスの軍人がunderground Cityで剣を振り、銃を乱射し大暴れをした。
undergroundで守られている貸金庫には著名人や政界の機密文書や国家機密、日本の三分の二の預金、国庫が眠っている。
この年、総理大臣の厳道右京《げんどううきょう》が暗殺され、ビオスの連中は厳道氏の遺産が眠る貸金庫を襲撃したのである。
至る所が炎で行き止まりになり、天井が崩れ落ちる。研究所は赤い炎に飲み込まれる。異能力エージェント達は応戦したがビオスの人体実験のエージェントだろう、初めて見るタイプの人造人間に驚愕した。背骨に鉛を埋め込んだ人造人間が続々と現れた。鋼の体を持つ兵士の瞳は鋭く赤き血の色をしていた。鉛の塊は翼に変形したり、蜘蛛のような手足に変形する者がいた。先端は刃のように鋭い武器に変形する。
underground City伝説の男、
『アンダーグラウンドを守れ――』と炎の中に飛び込む中条力は家族を守るため、仲間を守るためビオス軍団に応戦していく。
「大丈夫。お父さん達がここを守ってくれるわ」
母達は震える小さな肩を抱き締め、ただただ祈り続けた。予知能力を持つ京子は、突然の襲撃の予知が出来なかった原因を考えていた。
能力の減退を恐れた。 その時、頭を殴られたような衝撃と力の胸から大量の血が噴き出る映像が京子の頭をよぎった。
体の力が抜け、膝から崩れ落ち頭を抱え、動揺を隠せなかった。
「いやーーー」と発狂した。その様子を見上げる京子の娘、薫は悟った。そして一瞬の隙をつき、戦場と化した炎に向かって走っていく。
「薫ーーいっちゃだめ。戻りなさい」
京子の叫びは、薫には届かなかった。
「母さん、僕が行く」
「だめよ、静まで居なくなるなんて」
京子は静を力一杯抱き締め、恐怖と怒りで震えていた。京子の熱い涙が静の頬に落ちる。
鋼の翼が畏怖なく大きく羽ばたくと、薫を掴んで地上へ飛んでいくのが見えた。そしてビオス軍団は撤退していった。
静は涙で歪む景色を目に、心に焼き付けていた。
連れて行かれたのは薫だけではなかった。薫を含め子供七人が拉致され、力の亡骸はどこを探してもなかった。死亡したとされるエージェントは三名。皆、正義感が強く、人望厚い将来を背負っていた若者だった。煤だらけの顔に泣きながらキスをする恋人や家族。悲しい記憶となって刻まれた、ビオスによる金庫襲撃、能力者の拉致事件だった。
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