サンタ苦労す!?
ギフト
プロローグ
十二月二十五日と聞けば、日本人の大半はクリスマスと答えるだろう。
イルミネーションによって彩られる建物と道に並ぶ木々。
飛ぶように売れるケーキやチキン。
いたるところでイチャつく若いカップル。
他にもあるかもしれないけど、俺の中でクリスマスっていうのはおおよそこんな認識だったし、これで十分だとも思っている。
それでも、無理にでもあげてみろというのなら、独断と偏見にまみれた見解でもいいというのならーークリスマスというのは俺が一年の中で一番嫌いな日だった。
理由なんていくつもある。それこそ痘痕もえくぼの逆バージョンみたいなもので、嫌悪感さえあれば良いところも全部悪く見えるみたいな、そんな感じだ。
特にサンタクロースは飛び抜けて嫌いだった。
赤いコートと帽子を身に纏って、白い髭を生やし、トナカイが引くソリに乗って、子どもたちにプレゼントを配る心優しき老人。そう言ってしまえばなるほど聞こえはいいかも知れない。
だが、これならどうだろうか?
煙突から家に不法侵入し、余り物のクッキーとミルクを貪り、靴下の中にプレゼントを押し込んだ挙げ句、最後は笑いながら家畜にむち打って飛び去る。
どうだ? はっきりい言ってただの不審者だろう?
悪い表現をしているだけだと言われればそうなのだが、紛れもない事実であることに違いはないはずだ。
いや、紛れもない事実なんて大袈裟に断言はしたものだけど、そもそもいもしない者のことをとやかく言うのは不毛なだけだ。
存在しているが、実在はしない。
いわゆる妖怪や幽霊みたいなものだ。
だからサンタクロースなんてふざけた存在に巡り会うことなど、一生ないと俺は思っていた。
しかし、神の悪戯か、はたまた悪魔の罠か、俺はいるはずのないサンタクロースと遭遇してしまい、挙句やりたくもない大役を押しつけられる羽目になってしまったのだ。
本当に迷惑な話しだと常々思う。
さて、長い前置きはこれぐらいにして、そろそろ話しを進めようか。
始まりは十二月二十日。
クリスマスを目と鼻の先に控え、俺が慌てん坊のサンタクロースに殺された日だ。
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