第6話 恋
高校に入学してから一ヶ月が経った。
一ヶ月も経てばもちろんグループが確立される。
カースト上位グループを中心とし、発言の強さが物語っている。
もちろん例の彼女達は女子のカースト上位グループである。
むしろ上級生や他校の生徒にまで知れ渡り、もはやアイドルなみの扱いだ。
そんな彼女達がたまに俺に話かけてくる。
正直に言って迷惑だ。
何故かって?
それは深川 みな美のせいだ。
彼女は自分から男に話しかけることはない。もしあるとすれば、学校の行事の用がある時だけなのだが、何故か俺にはたまに話しかけてくるからだ。
そうすると、カースト上位グループの男どもが文句を言ってくる。
「あいつ調子にのってんな」
「オタクのくせに」
「やっちまおうぜ」
むしろ文句と言うよりも酷い内容だ。しかも俺に聞こえるように話してくるのだ。
さらには、バスケ部のイケメンで女子からも人気がある《相良 順》が彼女達に話かける。
「こんなオタクと話さないで俺達と遊ぼうぜ」
ミナミは冷めた目を向けながら、
「私は加賀君と話してるの、邪魔しないでくれますか」
その言葉を聞いて、辺り一面は冷めた空気となり、相良はタクトを睨みながら後にする。
これが最近の一連の流れになりつつあり、俺は男子どもから殺気をあびる日々。
俺はため息を吐きながら、
「ねぇ、深川さん?俺は平穏に過ごしたいだけなんだよ」
ミナミは微笑みながら、
「たまには刺激があってもいいんじゃない?」
「刺激なんていらない。それにこんなオタクと会話する意味がわからないんだけど?」
「私が話たいだけだから気にしないで」
タクトが再度ため息を吐いていると、
「ねぇ、ねぇ、私も会話に入れてよ~」
無邪気に話かけてくるユキを見ながらミナミが、
「可愛いユキは会話には入れません。ねぇ、加賀君もそう思うよね」
「俺に振るなよ。お前ら二人がこっちにくると目立つんだよ」
ユキは頬を膨らませながら、
「ヒドーイ。差別だ。なんで私達がダメなんですか~?」
「子供じゃないんだから。お前らの容姿を互いに見ろよ。学校のアイドルとしてチヤホヤされるぐらいに可愛いのは自覚してるだろうが」
タクトに可愛いと言われミナミは頬を赤くさせながら喜んでいる。
そんなミナミを見ながらユキは驚き、
「こんな私達と話せるんだからいいじゃない。それに男の子ならミナミのスタイルに興味だってあるんじゃないの~?」
ミナミも気になるのか、真剣な表情でタクトの答えを待っている。
「はぁ、俺も男だからもちろん興味がないと言えば嘘になるが、そこに心はあるのか?ただやりたいだけ、触りたいだけなんて虚しくないか?俺はイヤだね。」
そしてタクミは再度ミナミのスタイルを確認すると、
「お前も男の視線が嫌で男と話さないんじゃないのか?なら俺とも話さない方がいい。俺だって男だ、心が大切だとは思っているがどうしても目線が向いてしまう時だってある。なんだかんだ言って、俺もそこら辺の男と変わらねぇよ。わかったらもう話かけてくるな」
そう言い終わるとタクミは携帯を片手にWEB小説を読み始めた。
ミナミとユキは席に戻りながら、
「みっちゃんよかったね。彼は心が大切だってよ」
ミナミはうわの空で、
「うん。そうだね。」
ミナミのそんな状態を知ってユキは、
「彼って素敵だよね」
「うん、素敵」
「彼、私がもらってもいい?」
「うん、もらっても………。」
そこでミナミははっと気づき、
「ダメ。彼は誰にも譲らないから」
ユキはニヒヒと笑いながら、
「みっちゃん、そろそろ私にも教えてくれるかな~?」
こうしてミナミはユキから質問攻めに合いながら暴露したのであった。
そして、今日の会話がきっかけでタクトの事が好きなのかも?と気づいたミナミであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます