第2章
第18話 商人
ユリアさんとタギに見送られてから1時間ぐらいたった頃…
「アリー、そこの洞窟みたいな所で少し休憩しよう」
アリーが息を切らしながら
「はぁ、はぁ…そうだね、少し疲れてきたし…」
洞窟みたいな場所に着いたとたん、アリーの息が切れてきたので竹水筒を渡した。
「はぁ、これからどうする?」
俺は溜め息をつきながら
「昨日、話し合った様にまずは近場の町に行って買い物と情報を集めよう」
「うん、そうだね。どこに行くにしても情報がないと何も出来ないし…」
「後、持ち物の確認を念のためしとこうか。俺の鞄の中は下着、替えの服2着ずつ、財布、ユリアさんのネックレス、サバイバルナイフ、剣、本とノートが2冊ずつ、羽ペン、それからジル兄上からもらった物だけ…」
「私の持ち物もそう変わらないよ。服と、短剣、竹水筒、パン2個、小銀貨3枚だけ…ジル兄上?」
「あぁ、あの家の中で唯一俺に優しくしてくれた兄…ユリアさんやタギが話してた兄だよ」
その言葉に納得したのか
「あぁ、その人から何を貰ったの?」
「今、
アリーはその言葉に頷き
「パン2個、竹水筒、野菜の種だよ」
「いいお兄さんだね、でも野菜の種って…」
アリーが言いたいことが分かったけど、苦笑して誤魔化した。
でもその言葉は俺にとって見れば、今まで言葉の中で一番嬉しかった。
「あ、話を戻そう。俺達に足りない物が結構有ったね」
「お互いに持ってる物がだいたい同じだと思わなかったよ。最低限、テントと敷物は欲しいかな」
「じゃあ、テントと敷物だけは次の町で絶対買おう」
アリーが同意してくれたから、この後の予定がすぐに決まった。
「なら…休憩終わったら、行けるとこまで行こっか。どうしても駄目な時は野宿になるけど…」
「そうね、町の人や商人にここら辺の情報を聞きながら行けば良いし…」
それから町や人を探しながら歩いてたら、前から商人なのか荷馬車を引いて歩いてる人が見えた。
「あの人にここら辺の事を聞いてみよう」
「そうだね、商人だったらここら辺は詳しいと思うし…」
「出来ればこの領から出たいな…」
「すいません、少し聞きたい事があるんですが…」
いきなり話しかけたのが行けなかったのか、御者が警戒してきた。
「…なんのようだ」
「あっ!…」
アリーが驚いた声を出した瞬間、商人も声の方を見て…
「…アリーか?」
「はい、グリット叔父さん」
えっ!叔父さん!?驚いたけど、今は聞きたい事を聞こうと思ったら
「あの…グリット叔父さんはどの道を通って来たのですか?」
「逆に お前はどこに行くんだ?」
「まだ決まってないです。あっちこっち旅をする予定なので…」
アリーとのやり取りを聞きながら…
「あ、あの…すいません、あなたはアリーの知り合いですか?」
そう、俺が声をかけたら…相手は俺の事まで見えてなかったのか、ビックリして口ごもった。
「そうだが…あなたは?」
「俺はランティスです。今はアリーと一緒に冒険者をしています」
「俺はグリットだ、見ての通り商人だ」
「グリットさんは何を売っているんですか?」
「食料、日用品だ」
「えっ!!」
こんなとこで買い物が出来るかも知れないと思い、駄目元でグリットさんに
「あの…すいません、あればでいいのですが…少し足りない物を買いたいのですけど…」
溜め息をつきながらもグリットさんは
「何が欲しいんだ?」
「えーと…一番安い敷物、テントとパンを4つです」
グリットさんはすぐに注文の物を出してくれた。
「一番安い敷物はこれだ」
そう言って出してくれたのは、大人2人が座れるかどうかの物だった。
「はい、それでいいです。いくらですか?」
「この敷物は銀貨1枚だ。テントは今持ってる中で安いのはこれだ」
三角形の形をしたテントだった。
「これは3人分の大きさだ…、テントは銀貨2枚と小銀貨3枚で、パンは1個銅貨5枚、4つで小銀貨2枚。全部で3500円だ」
「分かりました」
そう言われ銀貨4枚出して渡し、小銀貨5枚のお釣りをもらい、
「急いでいる時に止まってくれてありがとうございました」
「まいどあり」
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