第10話 スキル3

「今日はこの辺にしとこう。いろいろとパニックになってるみたいだし…」

「う、うん…ありがとう」

 俺は疲れた顔をしたアリーを見ながら

「続きは明日にしよう、町長さんが夕飯出来たって言ってるから行こっか」

町長さんのいる部屋に行って

「町長さん、待たせてすみません」

「町長さん、ランティス様もこんなに良くしてもらって…ありがとう」

「こんな物しかないんだけど…」

「わぁ、美味しそう!」

アリーの嬉しそうな声が予想外だったのか

「じゃあ、頂きましょう」


 俺とアリーはちゃんとした自己紹介をしてない事に気付き

「町長さん、俺の名前はランで、敬語じゃなくていいよ。平民になったばっかだし…」

最後の言葉は小声になった。

「私の名前はアリエッタです。アリーと呼んで下さい」

「あたしはユリアよ。町長じゃなくてユリアでいいよ」

「分かった」

返事をした後、恥ずかしいくて俯きながら

「あの…平民に対しての知識はあるんですが…何をすればいいか分からなくて」

ユリアさんが子供をあやすみたいな声で

「まぁまぁ、何が分からないの?」

 それから平民として暮らすには何をすればいいか、何が出来るかを自分で考え、行動することが大事だと教えてもらった。

「すいません、アリーはまだ本調子ではないので今日は泊まらせて貰ってもいいですか?俺はどこでもいいので…」

 そう頼んだ。そしたらアリーが

「そ、そんなに気をつかわないで」


「まぁ、何を言ってるの。あなた達の部屋ぐらいあるわよ」

なんだか同情されている様に聞こえてきた。

「…じゃぁ、お言葉に甘えて」

 俺とアリーは泊まらせていただくことにした。


「あ、そうだ。この袋、林の入り口に落ちてたけどアリーの物かと思って…。ランは鞄持ってるし、この町には袋持ってる人はいないから」

ユリアさんは今、思い出したように

「あ、そうです。あの…見つけてくれてありがとうございます。その袋は私の大事な人に貰った物だから…」

その袋を見て見ると俺が持ってる鞄と、同じぐらいな大きさだ。

「お、おやすみなさい」

「おやすみ」


「ユリアさん、部屋を貸してくれてありがとうございます」

「いえいえ、疲れきった女の子をそのままにするのは心ともないですから」



 


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