勘当された少年と不思議な少女

レイシール

プロローグ

 朝ご飯が終わったら、父上に呼ばれ怖い顔で言いはなった。

「お前も15になったんだから、覚えているよな!?」


「あ、そういえば…」

 すっかり忘れてた…。15になったら家を出ていくことを。

 俺のそんな反応に気づく事なく…

「分かったなら、今すぐ荷作りをして昼までには出ていけ!それから二度とヘーニルを名乗るな」

「はい、分かりました」

 父上の部屋から出たところにジル兄上が待ってた。

「ちょっとランの部屋に行っていいか?」

「うん、いいよ」


「ラン、やっぱり…」

「うん、もしかしたらと考えたけど…。父上の考えは変わらなかった。今までありがとう」

「これ、少ししかないけどないよりかマシだろ」

 中を開けてみると、大銀貨1枚、5ミリ弱のルビーとアクアマリンのかけらが1つずつ、竹水筒、そしてパンが3個とじゃがいも2個、小さな入れ物が入ってた。

「いざというときに売って、後この小さな入れ物は野菜の種だから」

 そう言われて小さな入れ物を袋から出して開けてみた。そこには2種類の種が数個ずつあった。

「何で野菜の種?」

「これは念のために…どこかで暮らすにも食べ物がなければどうにも出来なく、種だと長く持つから」

「野菜じゃ駄目なの?」

疑問に思いながら

「野菜だとすぐ、駄目になるから…」

「なんの野菜?」

「じゃがいもと人参と大根」

「なんでこの3種類?」

「土の中だと盗まれる危険が少ないから」

 そう言われ、確かにそこに野菜があると知らなければ盗まれない。

「じゃがいもはその袋の中にあるやつ」

「これって種!?」

 俺はビックリして叫んでしまった。

「…でも、なんで種?」

「このじゃがいもは緑っぽくなってるでしょ?」「え…」

 言われて良く見てみれば、確かに緑っぽくなってた。

「そのままでもまだ食べれるけど、種として植えれば半年ぐらいでたくさん出来るから」

 俺が呆然としている間にも説明が続いていた。

「それから地面に植える時、半分に切ってから植えるといいよ。説明の紙をこの小さな入れ物の中に入れてあるから」

 俺は、ハッと気付き

「こ、こんなに貰えないよ!」


 俺が遠慮してると、ジル兄上が無理矢理押し付けてきた。

「兄上…あ、ありがとう」

 お礼を伝えると嬉しさや悲しさが入り交じった顔をして、ジル兄上はさっさと出て行ってしまった。

 それから、急いで家から出る準備を始めた。

 

 といっても、俺の持ち物は下着、替えの服2着ずつ、財布、サバイバルナイフ、剣、本とノートが2冊ずつ、羽ペン、そして今ジル兄上からもらった物だけしかない。全部で肩かけ鞄1つ分ぐらいになった。

 だからすぐに終わって家から出ていった。


 どうしてこんなことになったんだろう。今までの事を思い出してみた。










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