「変身」Season:-1

夏鳴

　この身体を照らす陽の光。吹き抜ける金色の風。目の前には、視界を横一文字に区切って広がる草原と、突き抜けるような青空。

その向こうで、薄紅色の君が駆けていく。

僕は君に呼びかける。遠くまで行ってはだめだよ。君は透き通るように輝く髪を靡かせ、振り向いて微笑む。

「アーヴィン、ここまでおいで！」

次の瞬間、世界は闇に包まれた。

2022年2月14日

　体が心から暴発したかのような衝撃で、僕はベッドから飛び起きる。

希望に満ちた夢の世界は消え、目の前に広がるのは絶望に塗りたくられたモノクロの世界。

たっぷり2分強瞑想し、こちらが現実だと脳髄まで刷り込んで、微笑む。

「―――また僕は帰ってきたのか。君のいる世界に。」

「ただいま、僕のしずく。」

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