第7話 前夜

前田には本当に悪いことをした。


 しかし、これが最善手であることは間違いない。


 他の誰にも任せられない。


 彼ほど真摯に人々のことを考えられる人間はいないのだ。


 さあ、世界はどう転ぶだろうか、決して今まで通りにはいられない。


 良くなることもあるだろう。


 悪くなることもあるだろう。


 そうなれば、悪くなることを減らすこと。


 誰かに悪いことがあった時、それをできるだけ減らしてあげること。


 即ち人の悲しみを減らすこと。


 それが警察官の職務。


 しかし、それができる者がどれだけいるだろうか。


 誰しも他人の身よりも自分が大切。


 それは真理。


 でも彼は違う。


 自分の身が傷つこうとも、人の悲しみを減らすことを第一に警察官として勤めている。


 世界は大いに揺れるが、そんな彼に託したい。


「前田クン、ゴメンねぇ。」


 ま、アタシも大丈夫だったしなんとかなるよ。

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