偏食
バブみ道日丿宮組
お題:昨日食べた靴 制限時間:15分
偏食
この手紙が読まれてるということは、既に私は病院に入ってるだろう。
どうしてそんなことになってるかといえば、最近食べ物でないものを食べ始めたからだ。
えんぴつ、けしごむ、のり、ルーズリーフ、シャー芯などなど。
身近なものは全部口に入れた。
別に食べ物が嫌いというわけでもないし、お金がないというわけでもない。肉が嫌いでも、魚が嫌いでも、野菜が食べれないわけでもない。
ただどうして彼らが食べられないのかが気になっただけ。
そうはいっても、やはり食べ物じゃないものを食べるということは身体に負担をかけるということ。
この手紙が発見されるような自体にはなってほしくないなぁってのはあったんだけど、無理そうかもしれない。
洗剤、石鹸、シャンプー、ぬめり取り。
ここらへんになると、不味いって感覚が強かった。
プールの味。高級プール? そんなのが味覚として感じた。
そこから、父さんが吸ってる葉巻に手を出した。
火を付けて吸うのが最高にHIGHになるやり方なのは知ってる。
けれど、私は未成年。そんなことをするのは許されてない。
でも、食べることは禁止されてない。食べることは決定した。
葉巻を口に入れると、ほのかなミントの香りがした。息もなんか透き通った感じがする。
はぁはぁと何度か息を吐いてみると、いい匂いがした。
美味しいという感じはない。違う味もあるようだけど、もういいかなって次に進むことにした。
次は何を食べようかと考えたときに浮かんだのは靴だった。毎日革靴を入って通学してるのだから、もはや相棒といってもいい。
そんな彼彼女を口にするのはとても危険な気がした。
何を踏んでるかわからないのはまずい。日常的に危険なものが大地にはいる。生の虫を食べてはいけないのに近い。
ということで、靴箱にしまってある新品の革靴を食べることにした。
食べやすいように小さくカットして、オリーブオイルで焼いてみる。
なんともいえない匂いがした。よく焼いた。口に入れた。うん、美味しくなかった。
それでも、全部食べた。
なんともいえない満腹感が胃を支配する。
お腹いっぱいになるまで食べるんだったら、100円均一で適当に買ったほうが安い。革靴なんて数千もするものを口にするのは間違ってる。
その間違ってることをしてる自覚はあるが、やめるわけにはいかない。
食べて、数時間なんだか身体が痛い気がする。お腹は痛くないのに、全身鞭打ちされたかのようにズキズキとする。
そんな中で、こんなのを書いてみれば、遺書になりかねない。
靴は……別格だったか。
いつかは消化される。
手紙は一応ここまでにしておく。
続きが書ければ、書いていきたい。いずれそういった本を出すのもいいかもしれない。
マニアックなものは、マニアックな人たちが好むものなんだから。
偏食 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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