囚われの埃かぶり姫2

双子の会話の間にも、フェイカーの苛立った声は続く。

「お前が何したって言うんだよ! ただこの城で好き勝手してるだけじゃないか!」

 すると女は、ふうと妖艶なため息を付いて、長い前髪をかきあげた。

「お手伝いした報酬くらい、もらったっていいじゃないの。アンタだって、資金の報酬はもらうんでしょ? この城で好きにさせてもらっているのは、あくまで報酬としてよ。それにワタクシの仕事ぶり、なかなか優秀でしょう? アイツの取引の一つ目、『このお城の権力を彼に集中させる』っていうのは、このワタクシがやってあげたようなものじゃない。この城の人はだぁれもイオクロマに逆らわないようにしてあげて。みんなワタクシの虜にしていう事聞かせて、言うこと聞かないヤツはイオクロマが城から追い出して、邪魔な王女様もあの有様……。むしろ、この仕事に関しては、アンタよりは十分働いていると思うけど?」

 挑発的に顔を寄せ微笑む女に、金髪を逆立てた少年は、悔しそうに顔を歪めて舌打ちしていた。とはいえ、さすがに言い返せなかったようで、無言で女を睨むばかりだった。それを見て、女魔術師は口の端を歪めて意地悪く微笑むと、白い紳士を従えてフェイカーの横を通り過ぎていった。

「一応アンタの言うことは聞いて、こうやってアンタに協力してやってるのよ。悔しいっていうなら、さっさとアンタのその力、引き出して御覧なさいな。オーホッホホホホ……」

 そんな会話が終わったことを確認して、シン達四人は顔を見合わせた。

「フェイカーがいた事はびっくりだべが……なんだか気になる話をいっぱいしてただべよ」

「イオクロマに、城の人たちが逆らわないように、女魔術師が協力してただって……?」

 難しい顔でシンジがあごを押さえると、ヨウサが緊迫した様子で口元を押さえていた。

「言うことを聞かないやつは追い出して……とも言っていたわ。もしかして、あの薬屋のお姉さんの言っていた薬師解任って……」

「ありえるねぇ〜。邪魔だったから追い出された一人なのかも〜!」

 ガイが言葉を引き継ぐと、シンジが更に重ねた。

「薬屋さんの話だけじゃないよ。あの口ぶりだと、王女様が病気になったのも、あの女魔術師の仕業なのかも……!」

 その言葉に、シンは握りこぶしを作って力強く言った。

「そうだべな、これはやっぱり、あの女魔術師の陰謀だったんだべ!」

「いや、正確にはイオクロマって奴の陰謀じゃないかな? 女魔術師は、あくまで手伝ったって言い方だったし」

「これは一旦、薬屋のお姉さんに相談してみたほうがいいよ〜」

 そうガイが提案すると、ヨウサもそわそわした様子で続けた。

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