美少女と怪人2
「今日は代わりに違う食べ物で我慢しよう」
「おう、マゴマゴの実は売れないが、ナナババの実なら売れるぞ。一つ二百リフだ」
「それなら僕たち一本ずつ買えるね。じゃあ、それください」
そんなわけで、双子はマゴマゴの実の代わりに細長い黄緑色の果物、ナナババを買って帰途についた。とはいえ、食い意地の強い二人が、待ち合わせ場所までこの果物を我慢できる訳がない。道の途中、座れるベンチを見つけて、双子はベンチの日陰に腰掛けた。そこでお食事タイムである。
「それにしても残念だったべな〜」
未練がましくシンはそんなことを呟きながら、ナナババを口いっぱいほおばる。パリパリした皮にしっとりと甘い実。ナナババも、マゴマゴほどではないが美味しい果物だ。温暖な気候に合わせて、ひんやりと冷やされた果物は、冷たくて甘くて絶品だ。そんな美味しい果物の甘さに浸っているシンの隣で、シンジは難しい顔をしてナナババをかじっていた。
「でも気になること言ってたね。王女様が病気だって。一体なんの病気だろう?」
その時だった。
「きゃあ!」
突然女性の悲鳴が響いて、思わず二人は声の方を見た。声がしたのは、先程まで歩いてきた商店街の通りだ。のどかだったはずの道に砂埃が舞い、村の人達のざわついた声が響く。それに紛れてザシュッザシュッと何かを切り裂く音が聞こえた。明らかに様子がおかしい。
「な、何だべ?」
思わず双子が顔を見合わせていると、今度は村人の叫び声が響いた。
「ツタ兵士が暴れているぞ!」
「女の子が襲われてる!」
双子は頷きあうと、即座に駆け出した。ついさっきまで平和だった商店街は空気が一変、緊迫感ある表情でお店の人もお客さんも砂埃から逃げ出していた。そんな中、逆に双子はその砂埃の中に突っ込んでいく。すると、今度は魔法の呪文が聞こえた。
『
呪文の声とともに、何かが切り裂かれる音が響いたかと思うと、今度は双子の眼の前に何かが数体倒れ込んできた。思わず二人は立ち止まり、倒れてきたそれを覗き込んだ。
「うわ、何だべコレ?」
「人……? じゃあないか……?」
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