第2話 猫を拾う

 暑い夏休みに入ったばかりの頃、冷房の部屋に籠りこもり、家猫のチョコが外を見たがるので、障子を開けていたら、猫の鳴き声が外から。ガラス戸の向こうを覗くと、一生懸命鳴いている子猫がいました。


 あまりに小さいキジトラのその子は去る様子がありません。チョコを見上げて「ミャアミャア」。よく考えもせず、猫大好き液状おやつを使ってチョコ用のペットキャリーケースに捕獲してしまいました。首輪などがある形跡はありません。


 野良の逃げっぷりは鮮やかですから、この子はもとは飼い猫だろうと思いました。どこかの家から脱走したかどうかも有り得ません。こんな過酷なうちの庭に(雑木林的な裏があります。)入ってくるような大きさの猫ではありませんし、ご近所さんのペット事情はお互い知っています。捨てられて彷徨ってさまよっているうちにチョコを見つけて助けを求めたと考えました。


 「猫を拾ったら」をネット検索します。とりあえず動物病院です。営業日時が犬の柴太朗やチョコがお世話になっている所と合いません。結局以前ハムスターを飼っていた時お世話になった動物病院を訪ねることにしました。まず、電話をして子猫を拾ったので診てくれないかと聞くと、「うちは引き取る活動はしてませんが、診察で構わないですか?お金もかかりますよ。」と返ってきました。「はい」と答えながら、獣医さんは拾った猫を引き取って下さいと言われたり診察代を踏み倒されそうになったりするんだなと思いました。


 前に見た時よりも綺麗にリフォームされており、先生も若返っておりました。世代交代なさったみたいです。とりあえず状態の確認と、血液検査を。


「そんなに長く野良だったわけではなさそうですよ。慣れてますから、飼い猫でしたね。男の子、生後3ヶ月くらいですね。」


 いつも思いますが、動物へ対する獣医さんの優しい態度には癒されます。汚くノミだらけの子猫をあやしながら薬をかけて梳きすき、サンプルですからと言いながら上等な缶詰を与えてくれました。お腹が空いていたらしくガツガツ食べていました。


 ケージ、トイレ、子猫用の餌等猫を飼うスタートセットを買い、帰宅しました。まだどんな病気を持っているか分からないので家猫チョコと隔離するようにと獣医さんに言われていました。


 夜に家族会議です。やはりこれ以上ペットを増やすわけにはいかないという結論が出て飼い主を探す活動をする事になりました。


 保護団体(チョコの出身場所)さんに連絡して活動方法を教えて頂きました。


①地方情報誌の里親募集に載せる。

②「ペットのおうち」という里親募集情報サイトに載せる。

③保護団体主催の譲渡会に参加。 でした。


 先の獣医さんもポスターを持っていくと病院の受付に貼ってくれHPに写真と里親募集の記事を載せてくれました。家族はそれぞれのSNSのアイコンやメッセージなどに里親募集の旨を載せて生活しました。


 1週間後、地方情報誌にのるやいなや、3件ほど問い合わせがあり、同じ市内の以前キジトラの猫を飼っていた人に決まりました。


次回は里親が見つかるまでの一週間の話をしようと思います。

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