パーマネント・シュガー
紫田 夏来
プロローグ
第1話
permanentは「永遠に」。これだけがわからなかった。
昨日、英単語テストの追試があった。私だけ不合格だった。ほかのみんなはさも当然のように満点で合格して、私はこの学校で一番バカなんだな、と思った。たかが単語一つわからなくても人生で困ることなんてない。面倒くさいことこの上ないと思う。
私が通っているのは、私立天陽高校。地域で一番偏差値が高く、県内の中高生でその名前を知らない者はきっといない。中学までは、私は野心に満ちて溢れていて、高校生になって丸一年以上が経過した今は、もうそんなものはこれっぽっちもない。
ゆるっとのんびり過ごそうよって、習い事や塾で忙しそうにしている同級生を見ているといつも思う。だって、大学に行くことがすべてじゃないでしょ?自分がいたい自分でいればいいじゃない。
さて、今日は球技大会だ。生徒会が主催し、先生方は、いなくなったのではないかと錯覚するほど、校舎内から姿を消す。職員室に籠りきりになる。
二年生は男女混合バレーボールと、女子バスケットボール、男子サッカー。これらの種目でクラスごとに順位を争う。優勝したから何かあるとか、最下位だったからどうとか、そういうことは全くない。だけど、燃える子は燃える。燃えない子は燃えない。それでも大多数は前者で、後者は私くらいしかいないと思う。
私は昔から、球技大会のようなみんなが一丸となる行事が苦手だった。小学校の運動会、学芸会、中学校の体育祭や生徒会主催のクラス対抗企画。そして、高校の球技大会。どれも、私はみんなの輪の中に入っていけなくて、いつも独りぼっちで、だから嫌。いつもただそこにいるだけ。そのことは嫌いだし、それを打開するために何も行動できない自分はもっと嫌い。
はーあ。早く帰りたいなあ……。
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