第16話〜娘、お出かけする〜

お母さんの言いつけどおり、家の中で待っている事にしたんだけど……う~ん……今日も魔法の練習しようかな?

私がやったのは、本に書かれてあった魔術「ライト・アップ」だけなんだけど……もう一回、このライト・アップの術の練習でもしようかなあ?

けど……他にも色々と呪文が載っているみたいだし……他の術も危険ではなければ試したいかも?

そう思っていると、外から足音が聞こえて来たので、お母さんが帰ってきたのかな?と思ったので、玄関口にいく。

扉が開かれて、現れたのは私の大好きなお母さんと、えっと……お母さんに紹介されたバルバさんと言う男の人、それに……あれ? お母さんの隣に女の子がいる。とりあえず私は


「お母さん、お帰りなさい~」


「ただ今、リアネはいい子で留守番してたかしら?」


「うん、ちゃんとお母さんの言いつけ通りに家にいたよ?……えっと? お母さん?」


「何かしら?」


「隣にいるのは……バルバさんだよね?あとその女の子は?」


「そうね……リアネに説明するわね? 実は」


お母さんが言うには、この女の子、エルフと言う事が解った。

エルフの女の子なんだあ……私とどう違うのかな?あ、でも……お母さんと同じ髪の色をしてるなあ……お母さんが言うには、このエルフの女の子を送り届けるというみたい。


「リアネちゃんはどうする? ナナはこれからこの子と一緒にお出かけしなくてはならないんだ、もしかしたら長くなるかも知れない。一人でお留守番するのは不安だろう? 私かタマコと一緒にいる事にするか?」


バルバさんがそんな事を言ってきた。

一人でお留守番?お母さんと一緒がいいもん!


「嫌……お母さんと一緒がいい」


「……だそうですよ。あの……一緒に行っても構わないですかね?」


「ふうむ……少々危険も感じるが……まあいいだろう。解った。三人だけでも不安だと思う。護衛をつけるが、それでいいか?」


「はい、助かります、あの護衛って……」


「な~に心配するな、腕の立つ護衛なのだからな?護衛の準備が整うまで、出発は明日にしてくれないか? では私はお暇するとしよう。この子もナナに懐いているようだしな? 構わないか? ナナ」


「……解りました」


「ではな」


そう言って、バルバさんがいなくなった。バルバさんがいなくなった後、このエルフの女の子が

「ママ! 会いたかった!!」

私のお母さんに抱きつきながら、言ったの! な……何言ってるの!?この子?私のお母さんなのに!


「えっと、私は……貴方の母親じゃないわよ?」


そうだよ!私のお母さんだもん!


「嘘!何で忘れちゃったの?ママ? 私……ママにずっと会いたかったんだよ?」


この子のお母さん……私のお母さんなの?

絶対に違うと思うもん。



「何度も言うけど、私は貴方のママではないのよ……娘はこのリアネだけだし」


「そんなの信じられない!だってその子、髪の色違うよ!」


信じられないと言われても、私のお母さんだもん!私は、この女の子に


「ママは、私のママなの!そうでしょ?ママ」


「ええ、この子の言っている事は本当よ?すまないけど……貴方のママではないから、ごめんね?」


「本当なの……?」


「ええ、ところで……そんなに私が貴方のママに見えるのかしら?」


「…………だって似てるんだもん……」


この女の子の母親って、私のお母さんに似てるの?この女の子のお母さんも、綺麗なのかなあ?私がそう思っていると、この女の子がどうしてここに来たのか話しだした。

えっと……ちょっと意味が解らなかったけど、お母さんに聞いた方がいいのかな?

でも、お母さん答えてくれなさそうだし……で、このエルフの女の子の名前が、エリンと名乗ったので、私も一応自己紹介した。

私には何となく解る。

この子と仲良くは出来ないと……でも、何でだろう?まあ、気にしない事にして、お母さんと一緒に食事を取って、一緒に寝る事にした。


次の日。私はお母さんに起こされて目が覚める。うん、やっぱりお母さんは綺麗だと思う。銀髪がキラキラ光ってる風に見えるしね?

今日は、お母さんと一緒に出かける日なので、外行きの服装に着替える事になった。

朝食を取った後、私の家にやって来たのは、バルバさんともう一人の大きい男の人だった。

なんか……顔がちょっと怖いよう……でも頭に耳がついてるし、前にお母さんから聞いた、じゅーじんとか言う種族なのかな? 私がそう思っていると


「待たせたな? では、護衛をつれて来たぞ、ほら、挨拶しろ」


「俺が君達を護衛する事になった、ワトリだ、よろしくな」


あ、なんか優しい目をしてる……いい人なのかな?けど……このじゅうじんさん、色々装備してない?全部扱えるのかな?


「えっと、私がナナで、こちらが娘のリアネ、で、護衛対象のエリンです。えっとワトリさんでいいんですかね?」


「ああ、気軽にワトリでいいぞ? 宜しく」


そう言ってお母さんと、握手していた。


「でな?このワトリは、獣人の中でも結構強いからな? 護衛としては役立つと思うぞ」


「ああ、俺も自分の強さはわかっているつもりだしな? それに……娘と仲良くしてくれてるみたいだしな。感謝する」


「娘?」


「ああ、俺の娘はタマコだ、ナナさんはタマコの同僚なのだろう? タマコから良く聞かされていたしな?」


タマコさんって、前にお母さんと出かけた時にあった、女の人かな?


「あ、じゃあ……タマコから聞いたのですが、ヒーリングキャットって言う種族なんですか?」


「ああ、そうだな?ヒーリングキャットは、回復術が扱える種族なんだが、俺は回復術はあまり使えん。武力を極める事にしていたからな? その代わり、剣術、槍術、魔術、格闘術を覚えたのだ」


「そうですか……」


「じゃあ、私の用事はこれで終了だな? ナナ、この子を送り届けたら、戻ってくるのだろう?」


「それはそうですよ、この国に私の家がありますし」


「そうか……」


「あの……何か?」


「いや、無事に戻って来たら話すとしよう。それでは私は行くな?」


バルバさんが移動した後。


「それでは、早速出発しようではないか?準備は整っているか?」


「はい、出来てます、リアネも問題は無いわよね?」


「う、うん、ないよ?」


「エリンは?」


「…………出来てる」


そう言って、エリンがお母さんの手を握っていたので、私もなんか嫌な気持ちになっちゃったので、お母さんの手を握る。なんで、嫌な気持ちになったのかな?う~ん……解らないなあ。


「……何か微笑ましいな?それよりナナさん、バルバから事情を聞いてるのだが……そのフードは被ったまま行くのか?」


「えっと……そのつもりですが」


「成る程……しかしそれでは前が見づらいのではないか?確かに……この国では銀髪はとても目立つのだろう。だが……俺がナナさんに危害を加える輩から守るから、そのフードを外してくれはしないだろうか?」


ワトリさんにそう言われてる。

お母さんがフードを被るのは趣味って言ってたけど、やっぱりちょっとおかしいと思うんだよね?お母さんは、そのままの姿はぜ~ったいに良いと思うのに……

ワトリさんにそう言われたのか、お母さんが


「これでいいですか? ワトリさん?」


「……あ、ああ、しかし……タマコが「ナナさんってすっごい綺麗なんですよ~」って言っていたが、これは納得だな。よし、俺がナナさんにちょっかいかけてくる輩からしっかりとガードするから、宜しくな?」


「……はい、宜しくお願いします、それじゃあ行きましょうか?」


「ああ」


お母さんがそう言ったので、お母さんと一緒にお出かけする事になった。 お母さんとお出かけ……ちょっと楽しいかも?

私はそう思っていたのでした……

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