神様のありったけを勇者に込めて魔王討伐【短編】
遥海 策人(はるみ さくと)
第1話 神と勇者の遭遇
あと一撃。
「滅べ! 魔王がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
しかし、勇者は絶望した。
「なんだとっ?!」
こんな最後はあまりにもひどい。魔王は
勇者の体力を例えるなら残りHPは1くらい。
遠のく意識の
勇者はその笑顔が許せなかった。
「それは俺がするはずだった表情だ」
勇者の魂は今、長い階段を登っている。空にかかる白い階段。永遠にもひとしいその階段を、勇者は迷わずに上り続けた。
この先には神がいる。勇者は神に
「私は力が欲しい」
世界を
この階段の果てで待つ神がいる。
真っ白な玉座。ここに
「やることないのう」
神は
「人間にでもなって、誰かと悩みを共にしたい」
神は、
神は世界の誕生から、この世界をずっと見守り、星が熱すぎれば水を注いで熱を抜き、寒くなりすぎたときは煙の毛布で温めた。ようやく星に水が保たれるようになったら、植物を生み出し、動物も作った。このように、時にかき混ぜ、時に転がし、面倒を見た結果、神の作った世界が安定を迎えた。
安定とは要するに退屈である。だから、神は大きなため息をついた。
その時。この神殿に勇者が現れた。
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