終ー④
─“何もない空間”
千人超のメサイア達は、それぞれの乗機でエゲツナーを攻撃する。
「攻撃の手を休めるな!再生する暇を与えずに攻め続けろ!!」
英雄はメサイア達のリーダーとして指揮を執る。
「力ずくのゴリ押しなんて、イヤねえ!あんた、奥さんと娘さんに嫌われちゃうわよ?」
銀色の機体に乗るメサイア、エーロイが言う。
「……別の宇宙には、オネエの俺もいるのか」
「彼の娘は“男の娘”だったりしてね」
インションが言った、その時だった。エゲツナーが苦し紛れに乱射したビームが、エーロイの乗る“オルカイザー”を襲う。
「下がれ、エーロイ!」
キリンオーはオルカイザーを庇い、ビームを受け止める。
「ぬうううううううっ!」
咄嗟にヒーロが魔法盾で防御するも、威力を完全に相殺出来ず被弾した。
「ヤダ、あんたカッコいい事してくれるじゃない!惚れちゃうわ!」
「俺はお前でもあるんだ。自分に惚れるのはナルシズムってやつだぜ?」
英雄が言った直後に、被弾したキリンオーの胸…ライゲルの顔部分が砕け散る。
「うわああっ!僕のライゲルがぁ!!」
自らが造った機体を無惨にも破壊されたインションは泣きそうな声で狼狽える。
「よっしゃ!オレっちの出番だな!?変形!
金色の機体に乗るメサイア、ヤンセが叫ぶと彼の機体は龍の頭部を模した形に変わる。そして……
「救星合体!ハイパーキリンオー!!」
失ったライゲルの頭部に代わり、黄金の龍の顔がキリンオーの胸に輝く。
「何じゃそりゃ!?」
「胸の顔が変わっただけでハイパーとな!?」
ギェロイとヒーロがツッコんだ刹那……
「どうだ!カッコいいだろ?」
キリンオーの後列中央の席にピンク色の髪をした英雄が座っていた。
「お前が、あの金ピカのパイロット!?」
「イエス!オレっちの名はヤンセ・ライマン!!オステオグロッサムって宇宙から来たんだ。シクヨロ!」
「しくよろ……?」
困惑するヒーロを尻目にヤンセは得意げにサムズアップしてみせる
「オステオグロッサムにヤンセ……芹佳が身分を偽るのに使った架空の名前なのに、実際に居たのか……」
「っつーかよぉ、お前らみんなオヤジばっかじゃねえか!どこが『機鋼救星ムスメサイア』なんだよ!?娘いねえじゃん!!今からタイトルを『機鋼救星オヤジャスティス』に変えやがれ!」
「……何の話をしておるのだ、こやつは?」
ギェロイだけでなく、他の3人もヤンセが何を言っているのかよく解らなかった。
「オレっちのいた宇宙は『第四の壁』の向こうにあるのさ。だから、お前らの戦いはよーく見てたぜぇ?」
やあみんな!オレっちは、今スマホやパソコンで読んでるキミタチと同じく、この戦いを物語として認識してるっつーワケだ!だからこうやって、地の文すら好き勝手できるっつースンポーよ。何だって?「しょうもないメタネタをするな」だと?いいじゃねえか、ネットで無料公開してる素人の小説なんだからよ。もし百万が一にでもコレが書籍化したら、このエピソードは修正してやらあ。……そうなったらオレっちは丸ごとカットされちゃうかもな!
「おいヤンセ、さっきから何を一人でブツブツ言ってんだ?」
英雄がうるせえから、次のエピソードから地の文も元に戻しておいてやるぜ。 だからもうちょっとだけ、オレっち達メサイアの戦いに付き合ってくれよ?
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