終ー①
─太平洋上空
エゲツニウムの暴走により、オジャパメンはその姿を変貌させた。いや、正確には暴走したエゲツニウムに取り込まれたのだ。
「デカい……」
英雄は、その大きさに息を呑む。先ほどまでキリンオーの3分の1程しかなかったオジャパメンが、その30倍ほどの質量に姿を変えたのだから。
『我が名は“エゲツナー”! 創造と破壊を司る存在……そして、全並行宇宙を統べる“神”なり!!』
地獄の底から響く様なエゲツナーの言葉は、地球じゅうに届いている事だろう。
「神だって?随分大きく出たねぇ」
インションの口調は普段通り飄々としていたが、声音には緊張が伺える。
『我は“星”そのものであり、様々な命を育んだ……しかし、その殖え過ぎた命を賄うに我の体は狭すぎた……故に、他の宇宙を我が命達の新たな星とする事を選んだのだ』
「随分勝手な理由だな!他の世界と命を何だと思っている!!」
ヒーロは声を荒げる。彼の世界アラパイムが滅ぼされた理由を知ったからだ。
『そして、全ての世界を統べし我こそが、“神” となる………その為に最大の障害となる「メサイア」は、ヘイトを我が手に取り込み、他の者達はヘイトらの手で亡き者にする筈であった……』
「……ヘイトは貴様に騙され、掌の上で踊らされていたというわけか!」
つい先ほどまで怨敵と思っていた並行世界の自分が、真の敵に操られていた事を知り、ギェロイの胸に怒りがこみ上げる。
『しかし、 我が計画に思わぬ邪魔が入った……それが
「……今、何つった?」
英雄はエゲツナーを睨む。
「芹佳に何かしようってんなら、俺は神だろうが何だろうが、ぶっ殺してやる!いいか?宇宙で一番強ぇのはなぁ、家族を愛する“父親”なんだ!解ったかこんダラズが!!」
英雄の怒りに呼応し、幻舞のエゲツニウム炉が再び輝き始める。そしてキリンオーとエゲツナーを包む様に次元穴が開くと、そのまま次元の彼方へと姿を消した……
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