7ー⑩
オジャパメンの腹からエゲツニウム砲が放たれる。
「マンチャ・デ・オーロの水鏡よ!!」
ヒーロが呪文を唱えると、キリンオーの左掌に魔法による障壁展開。それを盾にしてビームを受け止める。
「ぬうおおおおおおあッ!!!」
衝撃に耐えながら、メサイア達は操縦桿を握る。
「光龍刃んんッ!」
英雄が叫ぶと、ケツァールの羽、ライゲルの尾、幻舞の刀ヤマカガシが一体化し、一振りの矛となる。キリンオーの右手はそれを握ると、 ビームが途切れたのを見計らい、魔法の盾を解除した左手も光龍刃の柄を握る。
「そりゃーっ!!」
ギェロイが吠える。オジャパメンに急接近し、勢いよく垂直に光龍刃を振り下ろすキリンオー。
「そんな攻撃、当たってたまるか!!」
大振りの一撃を、ヘイトはオジャパメンを操り、ひらりと回避する。
「ああそうさ。それは当てるつもりじゃないからね」
インションの言葉を聞くや、ヘイトは振り下ろされた光龍刃を確認する。キリンオーが握っているのはライゲルの尾とヤマカガシだけだった。
「!!」
オジャパメンの左足が切断された。ケツァールの嘴、剣誇刃が死角から回転しながら高速で飛来したのだ。
「さあ行け、千島!鎌威太刀!」
インションが命じると、ケツァールの主翼である刃・千鳥と尾翼の刃・鎌威太刀が同様に飛来。
「くっ……」
オジャパメンは両腕のブレードで千鳥を打ち払うも、続く鎌威太刀を避けきれず、右脚と左腕を切断されてしまう。
「トドメだ!」
キリンオーが、ライゲルの尾と繋がっているヤマカガシを薙刀の様に持つと、オジャパメンめがけ刺突を放つ。
「うあああああああああ!!!」
ヘイトは絶叫しながら唯一残ったオジャパメンの右腕ブレードで、刺突を受け止める。共にエゲツニウムのエネルギーを纏った刃同士がすさまじく火花を散らす。
「エゲツニウムよ……もっと、もっと、もっと我に力をおおおお」
ヘイトの声を聞いた後、異変に気付いたのはヒーロだった。
「ヤマカガシの方のエゲツニウム、弱くなっていませんか!?」
英雄達がモニター越しに見やると、確かにヤマカガシの纏うエネルギーが弱まっている。
「しかもオジャパメンのブレードは逆に強くなっていないかい?」
「まさか、あやつ……」
「ヤマカガシからエゲツニウムを吸収しているのか!?」
英雄たちの予想は的中した。オジャパメンのブレードにエネル
ギーを吸収され尽くしたヤマカガシは、ただの鋼鉄の塊となり、パキリと音を立てて折れた。そして、オジャパメンは両手のブレードをキリンオーの右肩へと突き立てる。
「ぐわぁーーーー!」
「動け……幻舞!キリンオー!!」
英雄は幻舞の操縦桿とコンソールを操作するも、反応が無い。
『ゲンブ……ソノ機体ノエゲツニウムモ…吸イ尽クシテクレル』
オジャパメンのブレードは、キリンオーの中核となっている幻舞からエネルギーを吸い上げてゆく。
「何だ今の声は!?……ヘイトのものではないぞ!!?」
ギェロイが言う通り、それはヘイトの発した言葉ではなかった。そして、オジャパメンはキリンオーを前蹴りで吹き飛ばす。
「幻舞、エネルギー切れだ!メイン動力をライゲルの機械生命炉に切り替えるよ!」
動きの鈍ったキリンオーのモニターには、様子のおかしいオジャパメンが映った。
「お、おい……アイツの足を見てみろ!!」
英雄が指さした先では、先ほど切断したオジャパメンの左脚断面から紫色の結晶状の何かが隆起してゆく。
「再生…している…だと……?」
続いて右脚、左腕と、失った手足に代わるものが生えてきたと同時にオジャパメンは装甲の下から同じ結晶状のものが生え、姿を変えてゆく。
『我ハ“エゲツナー” ……創造ト破壊ヲ司ル者ナリ!!』
それは、先ほど聞こえた声だった。
「何だと!?」
『我々は貴様らが“エゲツニウム”と呼ぶエネルギー体の“意思”だ!』
今度は、その声がメサイア達にもはっきりと聞こえた。
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