ギャル魔王様!〜女子力を磨いて人間界を支配!?〜
まこちー
第1話
「余は強い!」
「余は偉い!」
「余はすごいのだ!!!!!!」
と、暴れ回り、魔界の半分を破壊したのが四日前。
「お前は追放です」
空から真っ白なローブと翼の天使が降りてきて、そう言われたのが三日前。
「おのれぇ!!!!!!余を愚弄したなぁ!!!!!」
断末魔と共に人間界に落とされたことを思い出し、冷たいアスファルトの上で目を覚ましたのが二日前。
魔王は今、飢えていた。
人間界のことを何も知らずに突然来てしまったのだ。魔界の魔族たちは雑魚モンスターを殴って食えば腹は膨れるが、人間界にはそんなものはいない。
先程道端で見つけた丸々と太った鳩を捕まえて食おうと追いかけていたら、紺の帽子を被った人間たちに追いかけられてしまったし。
「君、そんな格好で何してるの?」
「最近女子小学生を追いかけてる不審者、もしかして君?」
「怪しいね。ちょっと署まで来て貰える?」
「な、なんなのだ貴様らは!余は魔王であるぞ!!!」
自慢の魔法攻撃も魔力が充満していない人間界では使えず。しかし、攻撃の意思を見せてしまったため、更に怪しまれて三人がかりで取り押されられてパトカーに連れ込まれた。
「貴様らぁ!!!容赦せんぞ!魔王を舐めるとどうなるのか見せてやる!!離せ!人間風情が!!!」
「なんか、かわいそうなオジサンだね。仕事クビになっておかしくなっちゃったのかな」
警察署でも「余は魔王である」としか言わなかった彼は一応拳銃などを隠していないか検査をされ、すぐに釈放された。
元々着ていた偉大な魔王服は「露出が高くて皆ビックリするからね」と無理やり剥がされ、代わりに真っ白なTシャツとくすんだ青のジーンズを着せられた。警察署から放り出されたのは、長い金髪をハーフアップにし、日に焼けた肌の……LLサイズの服を着た普通のおじさんだった。
「……」
魔界を滅ぼしかけた魔王は、人間界が分からなくなってしまった。
「余は……どうすれば良いのだ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます