家族の肖像☠

あのね!

第1話⁂幸せな家族!⁂

「パパドラゴンズの開幕戦何日だっけ?」


 笑顔で父の章に話し掛けている今年度から中学二年生の花。


「三月二十九日だ。ママも一緒の四人でナゴヤドームに行く約束していたね?」


「そうよ~!ドラゴンズの大ファンだから行きますよ~!私を忘れないでね?ホホホホ」


「そうだよ!パパ忘れんなよ!」

  反抗期真っ只中のもう直ぐ高校三年生大和が、突っぱねた口の利き方で、さも嬉しそうに話し掛けている。


「こら!偉そうに!ワッハハハハハ!」


 何とも微笑ましい家族の姿がそこにはある。

 まるで絵に描いたような幸せな家族。



 🌱🌸☘️🥀🌱🌸☘️🥀🌱🌸☘️🥀


 “春は名のみの風の寒さや”と歌われるように、節分をすぎると人が寒さに震えていても、芽吹きや、花を咲かせて春の到来を知らせてくれ🌱⋆*


 💥太陽の光は日増しに強くなって……

 この季節を先人は太陽の明るさで春を感じ『光の春』🌟.:*

 何とも美しい響きで呼んでいた。


 そんな、もう直ぐ新学期を迎える幸せ家族の門出を祝うかのように

 お庭の沈丁花(じんちょうげ)が香水のような甘い香りを届け⋆❀。*


 一番遠くにまで香りが届くといわれる・*⋆沈丁花

 春の香りの中でも、ひときわかぐわしい香りに誘われ*✿・。⋆❀。*⋆


 沈丁花は二月から三月にかけて咲き出す花で、夏の梔子(くちなし)、秋の金木犀

(きんもくせい)と並んで三大香木と呼ばれている。


 *・。✿そんな香り立つ春の息吹と期待に満ちた新学期を、あんなにも待ち望んでいた佐々木家の子供達。


 だが、春先の真夜中に名古屋市天白区梅が丘の閑静な住宅街の、佐々木家から火の手が上がり、あっという間に全焼。


 焼け跡から三人の焼死体が見つかり、検視の結果、この家の妻鈴子と子供達二人の大和と花の焼死体と判明した。

 この季節は春一番が吹き荒れる、空気が乾燥した時期であった為に、火の回りが早くあっという間に燃え尽きてしまった。


 世界的猛威を振るう事になる、コロナ感染者の存在が明らかとなる十ヶ月以上も前の二〇一九年三月の事である。


 だが?この火事は実は……?





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