第64話気功鍛錬
店に戻ると、ドアには鍵が掛けられ入ることができない。
ドンドン「ハジメだ開けてくれ」
ガチャカチャと音がして、スキ間から覗かれゆっくりとドアが開きだした。
中に入ると、2人して俺をジーッと見詰めている。
「心配するな、明日の朝一に警護の人が来てくれるそうだ」
「そうでしたか、それなら安心です。よかったなカミヤ」
「本当にそうですね」
俺は見えない様にして、ステンレスを出すと【創作】でドアチェーンを作り、インパクトドライバーでガガガと取り付ける。
ドアの顔の位置に、オリハルコンのナイフで小窓を開けてゆく。
ガラス板もそれに合わせて切り、はめ込むと【創作】でくっ付けて【強化】を施す。
その上からステンレス棒も取り付けて、ドア表面にもステンレス板で補強して、頑丈そうに作りかえる。
これで少しは良くなったと思う。
これでもかと、補強しておけば壊して侵入しようとしないだろう。
そして、15万ボルトの警棒スタンガンを2本取り出し、振向いて2人に持つようにと渡した。
「これは何ですか」
「警棒スタンガンと言って、その先を相手に当てると凄いショックを受けて倒れる物だよ」
2人はどうしたものかと、互いを見ている。
「倒れると言っても、気絶するだけで死ぬことはないから大丈夫だよ。ただし物凄く痛いぞ」
「試しにカミヤが、ラルトにやって見るのも悪くないかな」
「カミヤ、やっていいぞ。体は頑丈に出来ているから大丈夫だよ」
「そうですか、いきますよ」
「バチッ!!」
それは一瞬でラルトが崩れる様に倒れた。オロオロするカミヤは、しだいに泣き出している。
「心配ない。息もしているし気絶しただけだよ。そのままにして置けば目覚めるさ」
「本当ですか、嘘はダメですよ」
すすり泣きしながら懸命に介抱をしている。
20分後にようやく目覚めて、カミヤもようやく安堵したようだ。
そしてカウンター隅に防犯スプレーを3本置いておく。
時間は15時頃で、ラルトに聞くと今日は客は2人しか来ておらず、店は閉めていいと言い残して店を出て行った。
ゲートで我が家に帰ると、ライがブラックに剣道の指導をしている。
太い木刀を持たせて、素振り練習を黙々とさせている。
俺には聞こえないが、念話で会話しているらしく、素振りを止めてライの素振りを見る場面を何度か見てしまう。
ブラックは接近戦闘より、遠距離の魔法攻撃が得意そうで、それを伸ばせば更に強くなるだろうと予測している。
しかし、ライに任せたし接近戦闘を知れば、防御方法に幅が持てるから良いかもしれない。
そんな2人の頑張りを見終わり、自分自身の修行を開始する。
今は気功Ⅲであるが気功Ⅳに成りえる段階。
充分な気力が維持されている状態が続いている。
次の段階に昇る為、見つけておいた草霊の六千草と四千草を、ガツガツと食べながら気力の上昇を感じる。
感じた気力を循環させ、体にとどめる為、精神を集中して天門を開き続ける。
長い時間を鍛錬し続けただろう。天門が更なる段階に到達し終えた。
ステータス表示にも、気功Ⅳと表示されパワーアップしたことが分かる。
朝日が山々を照らし始めている。
もうそんなに時間が経ったのか、異世界に行って警護の人柄を見ておきたい。
疲れた足で立ち上がり、ゲートを開き異世界へ急ぐ。
店のドアを開けると、凄いガタイの男性とグラマーな女性がラルトと話している。
「ハジメさん、いい所にきました。こちらが冒険ギルドから斡旋された方々です」
鍛錬終了後に急にここへ来たので、急に喉の渇きを覚えた。
手で制止しながら冷蔵庫へいき、麦茶を取り出しコップに注いで一気に飲みほした。
どうにか一息できた。うしろで心配そうにカミヤが見ている。
「急いで来たので、喉が乾いてね。どうですか2人も飲みますか?」
「それでは、お言葉に甘えさせて貰います」
コップを2つ用意して注いで行く。
「どうぞ飲んで下さい」
男女は一口飲んで驚いた顔をする。
「独特な味がするが、冷たいので美味しく感じるのは何故だろう」
「何難しい事考えてるの、冷たいから美味しいのよ」
2人はアーモンドとシンナで結婚の約束をして、その為に危険な冒険者を辞める決心をしたらしい。
結婚は半年後に決め、警護就職中に俺の求人にたまたま居合わせて、即名乗りをあげて決まったらしい。
アーモンドは剣を帯びていて、シンナは弓と短剣を帯びていた。
冒険ギルドには普通以上に金を払って、優秀な人を頼んだのでこの2人も優秀だと思う。
ラルトに2日後に又やってくるからと言って、店を出てゆき人が居ない所でゲートを使って帰った。
部屋のベットに寝そべりながら、なにげなくテレビをつけて見ている。
急に特報が入り、アナウンサーが強張った表情でしゃべり出した。
「中国でゾンビが猛威を振るっています。人を襲いその人もゾンビ化しています。ご覧下さい」
ヘリからの撮影で、人が逃げている背後から襲い食らいつくシーンが印象深い。
画面がロングになると、ゾンビの集団が映し出される。
ゾンビを討伐するには、脳を完全に破壊しないと起き上がり、最初の動きは鈍いが徐々に動きが早くなるらしい。
そこから考えられることは、再生する能力が備わっているのだろ。
腕が再生したと兵の証言もあり真実に近いみたいだ。
映画に出て来る腐り掛けたゾンビでなく、再生能力を持つ、ただ狂った様に人を襲い魔物を増やすだけの存在。
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