第38話呪い
急いでかき集めた薬草と解毒草。
渡された麻袋に、一杯に入れて持って帰って来た。
ギルド受付には、大勢が並んで待っている中、俺だけがキョロキョロと周りを見ていた。
俺の世界で、色々な持ってきている。今は、その食べ物で凌げるだろう。
しかし異世界では、金がどうしても必要になるだろう。
情報収集にも金がいるし、何かにつけて交渉をする段階でも金がいる。
しかしこの冒険依頼は、金になる予感がする。
今はしょぼい依頼だが、ランクを上げて荒稼ぎをしてやる。
まず冒険者として、信用を勝ち取らないと貴族にも鼻も掛けて貰えないだろう。
何の伝手もない異世界で、集めた情報によると冒険者が最も貴族と係わる可能性が大きい。
ランクが上がるに連れ、貴族から直接に依頼が来るとギルド職員が話していた。
しかし貴族にも良い貴族と、クズな貴族が居るらしい。
ならば貴族の情報が必要になってきた。
もしもクズな貴族なら、俺にそんな貴族相手に取引きが出来るのだろうか、ダメなら俺の世界の政治家に任せるか?。
腹黒い人間には、腹黒い政治家が対応するのが適材適所だと思う。
そんな考えを巡らせる中、ギルドの受付が俺の番になってしまった。
背負ったバックを降ろし、木札と薬草105束と解毒草60束ををテーブルに置く。
「おお! あんたがマリアが話していた風変わりな奴だな。それにしてもこれだけの量を採取するとは大した者だ。これでお前も銅にランクアップだ。これが10500ドルカだ」
銅のメダルには、402番の番号が刻まれ裏にはここのシンボルマークの剣と蛇が刻印されている。
失くすと10000ドルカの罰金が課せられるらしい。
貰った金貨1枚が10000ドルカで大銅貨5枚で500ドルカらしい。
その下に小銅貨1枚が1ドルカで、あとは銀貨1枚で1000ドルカなどかある。
そして一般人には目にしない、マテルアル貨1枚で10000000ドルカもする物があるらしい。
そして1時間を掛けて、俺が稼いだ10500ドルカ。
日本の円に直すと10万5千円で、1日の稼ぎにしては大金。
それに、10キロ内には沢山の薬草と解毒草がまだまだ自生している。
なんだか、異世界はばら色の人生が待っていた気分。
依頼板を覗くと、銅ランクの中に荷物運搬や魔物討伐など実力が必要な物が見受けられる。
荷物運搬は、街と街の荷物運搬を盗賊や魔物から守り、対価を貰うのだが行きたい街があれば受けたい依頼だ。
しかし、まだここでの情報収集やランク上げを行いたい。
なので魔物討伐の中から地域が近い魔物を選んだ。
ブラックウルフ 魔石1000ドルカ
ブラックベアー 魔石4000ドルカ
レッドベアー 魔石8000ドルカ
この魔物がアクア山付近に生息していて、ここから10キロ先にその地域がある。
基本的には、魔王の魔物を討伐することは禁止で、見つかると死刑になる可能性がある。
それは、魔国との条約の中にも書かれていて固く守るよう通達されている。
なので、この魔物は魔国の魔物でないので安心して狩れる。
少し日が落ちかけているが、門の外に出て結界を自身に展開して目的地に向かって飛行する。
着いた時には、辺りはすっかり暗くなり普通なら見えないが、俺は暗視があるのでわずかな月明かりでよく見える。
それに気配探知があるので、後ろからブラックウルフ23体が来ているのにも気付いている。
気功によりブラックウルフの次の行動は、予見できているので体位を少しずらして刀を振るだけで1体を倒した。
刃の向きを変え、次のブラックウルフを斬り上げる。
時には、一振りで3体を斬り倒してゆく。
そして最近、取得した気功の
刀を振り、その波紋が広がり魔物を次々と倒してゆく。
この斬刃で残りのブラックフルフを倒したので、ナイフを使って魔石を回収してゆく。
そして気がついた。この魔石は俺が知っている魔石と違い、少し濁りがあり輝きもさほどではなかった。
たまたまブラックウルフだけ濁っていたのか、次の魔物を倒せば分かるだろう。
ブラックベアー2体を倒した。
魔石回収をしようと近づくと、急激に近づくレッドベアーらしき気配を感じる。
【石弾】を10弾を用意して待構える、突然魔法攻撃の気配がして咄嗟にバリアを展開。
木の後から火球が2つ、俺に当たる前にバリアに阻まれる。
位置は分かっているので、【石弾】をぶち込む。
命中した音が響いた。気配も死んだことを確認。
レッドベアーの特色の火球だが、魔王の魔物の方が断然威力があるように感じる。
ある程度倒したので、ギルドに入ったがハタッと気がついた。
魔王を鑑定していなかった。
恐かったのも原因だったが、ここの人間も鑑定していない。
早速鑑定。
アーロン・オマン
Lv3
HP8
MP2
STR2 VIT1
DEF1 INT1
DEX2 AGI2
魔王の呪い( 呪いによってステータス半減 )
確かこの人は鉄クラスで強いと噂されているのにこの低さは何なんだ。
他の人たちも鑑定しまくったが、皆、魔王の呪いが表示されていた。
これは今の魔王の仕業なのか、それとも前魔王の仕業なのか俺には分からない。
これは、何とも言えない1つの謎が増えてしまった。
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