第30話最後の拠点




広島方面の第1拠点の戦いがようやく終わり、目的の植物系従魔がレベルアップを成し遂げた。

次の戦い場所は、ここから20キロ先。

数は6万以上で、そこさえ終わればしばらくは安心かも知れない。

あとは自衛隊や自警団だけでも、対処できる数まで減っている。

その後はどうなるかは日本政府しだいで、俺はただ見守る事と今回のことで知った事の報告をするだけ。


ただ魔王が再度ゲートを開かない限り安全。しかしそれは無理だろう。

ここでああだろうこうだろうと考えても仕方ない。



俺は、おれ自身の新たなゲートを開く方法を考えてみた。

今まで俺自身がその場所に行かないと、ゲートを開けなかった。

それを従魔に代行させようと思っている。

従魔に行かせて俺の念話でリンクして、その場所を目で特定しイメージが固まれば開けると考えた。

失敗しても損はしないので試している。


1羽のカースが魔物の動向を見ている。

その目を通して俺も見ていたが、強そうな魔物は1体だけで、これなら大丈夫だろうと確信。

俺らが戦いをするのにいいポイントを探させる。

1つ越えた山がよさそうなので下りるよう念話すると、指示された所に下りて周りを確認。


俺はその場所を強く念じてゲートを開いた。

案外、あっさり成功。

従魔がゲートを入りだす。

最後のほうは植物系従魔が苗木の従魔を引き連れて入ってゆく。

ちょこちょこと、後ろを追い駆ける苗木が可愛らしい。

俺がゲートを入り出てみると、既に戦いが始まろうとしている。


魔物から火球が飛んできているが、カースらの水球によって相殺され空中爆発を起こしていた。

又は風魔法の【爆風】によって、魔物の方へ押返され魔物に被害がでている。


そして、カースの1羽に監視させていた1体に動きが見えた。

俺は防御魔法の【バリア】を、傾斜をつけて眼の前に展開。

眩い光線がバリアに当たり、斜め後方へそれてゆく。

それは一瞬のことだが、俺に取っては死に繋がる攻撃だった。

どうにか防げたことに安堵してしまう。


発射した魔物は、次の発射に向けてオーラをまとい始めていた。

しかしバワンの上空からの光線で消滅。

事前にバワンには、光線発射後の魔物を狙えと教え込んだ。

まんまと作戦が成功しことに、薄笑いをしてた。


それで2キロ以内に居た魔物も全滅。残りの数は3万を切っている。

2キロ内に居た魔法攻撃をする魔物も、カースの上空からの攻撃で居なくった。

そのせいで討伐速度に拍車が掛かった。

そしてバワンは俺の近くに舞い下りて、なんとか仕留めましたと念話で伝えてきた。

強い魔物は居なくなったので、バワンがここで休憩すると念話で甘えてきた。

光線はMPを大量に消費する為に、仕方ないことだった。

俺自身も助かったので、ダメだとは言えない。


俺は一部の接近タイプの従魔を撤退させ、徐々に魔法攻撃の遠距離攻撃に切り替えつつ包囲してゆく。

時間が経過するに従い、数を減らす魔物達。作業のような戦いが1時間も続いた。

戦いは終わり、死体の処分までしばらくは休憩。


この広島方面の内容を投稿サイトに投稿。

スマホの電源を切ると、もう1つのスマホが鳴り出した。

それは母からのメールであった。

朝一で話したのに、どうやら遠い親戚の女性が結婚すると言う内容だった。

俺には面識もないのに、どうしてそんなメールを送ってくるのだろう。

俺に遠回しに結婚を考えろと言っているのか?今はそんなことは考えられない。


どうやら処分が終わったようだ。

俺はゲートを開き、皆が通ってゆく姿を眺めていた。


・  ・  ・  ・  ・  ・  ・


日本政府は魔物の侵略を直接侵略と認定し、国会審議も満場一致で通ったので、気兼ねなく自衛隊を動かしていた。

そして主に行動しているのは、陸上自衛隊である。

陸上自衛隊の部隊は、陸上総隊、方面隊その他の防衛大臣直轄部隊と成っている。

防衛大臣の下に防衛副大臣・防衛大臣政務官などが居る。

方面隊は、方面総監部及び師団、旅団その他の直轄部隊から成る。

そして方面隊は、志願兵を募り覚醒者の部隊を編成。



1週間の強行スケジュールで、自警団の協力の下に覚醒者を増やし部隊の編成を成し遂げた。

その名は、【覚醒部隊】と呼ばれ兵庫方面は【青龍せいりゅう覚醒部隊】。

鳥取方面を【玄武げんぶ覚醒部隊】。

広島方面を【白虎びゃっこ覚醒部隊】

名前に四神の霊獣の名前を使用。神に祈る願いからかも知れない。


南は緊急措置として、直しやすいポイントの橋を壊した。

魔物の進入を阻止する為の緊急措置であった。

当初、責任問題に発展して誰が責任を取るかで揉めに揉めた。

総理大臣の野神のがみが重い腰を上げた。


「責任は総理大臣の私が取ることにする」


その一言で解決。


自衛隊作戦本部は、今日の投稿を受けると準備していた作戦を開始。

各方面の覚醒隊が行動を起こした。


次々と入る報告も予想通りで、青龍覚醒部隊が防衛ラインの魔物を全滅させたのが4日目。

玄武覚醒部隊の防衛ラインの勝利が知らされたのが5日目。

同じくして白虎覚醒部隊も勝利を知らせてきた。

青龍覚醒部隊から、住民の生存確認3名や魔物の探索と被害の報告が次々に入ってくる。

白虎覚醒部隊からの被害報告が、多大である事に自衛隊作戦本部も驚いた。

それは2キロ周辺が灰と化した場所が数ヶ所報告された。

放射能の反応はなかったので、動画や写真が撮られ採取もおこない調査がはじまる。

原因は分からないまま、研究者の現地調査待ちとなる。


青龍覚醒部隊が6日目で岡山駅に到達。

岡山の被害が本格的に報告されてきた。

その日の内に、トップニュースとして日本全国を流れた。



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