第26話玄米




今、天日干ししていた稲を足踏み脱穀機で脱穀をしている。

足で踏んで放してを繰り返し、円柱を回転させ突起物が稲から米を取っていく。

昔使われた道具の一種である。その前の道具で有名なのが千歯こきだが俺は実物を見た事が無い。

それが終わると、唐箕とうみがけをする。


この唐箕、あっちこっち傷んでいたので直す事になった。

カンナで歪を取り、欠損した部分は作り直した。


これも昔の道具で手で羽を回し、風でゴミを飛ばし米は重いので下に落ちて分離する。

それが終われば、次は籾摺もみすり機で籾をこすって玄米にする物で現代でも使用されている。

これらの道具や機械は、下の村から持って来た物だが足踏み脱穀機や唐箕があった事に驚いている。

現代では機械でやってしまうので、この道具は使われなくなって相当長いと思う。


無言で手伝うゴーレムやライのお陰で、昼過ぎには一連の作業がようやく終わった。

昼食を取った後、今は玄米を俵に詰め込む作業をしている。


この俵はライが動画を見てつくった物で、俺でも中々難しい作業で修得していない。

多分、俵で15俵が蔵に納まるだろう。

植物魔法のお陰で、2回の収穫が行なわれた。連作の被害もでない魔法で助かった面もある米作りだと思う。


米俵を入れる蔵も、最近俺が作った蔵で枠組みの木材と屋根は魔法で作り上げた。

しかし壁はコテを使って、左官風に頑張って仕上げた。

漆喰しっくいは、もちろん土魔法で作ったので品質的には良い物だ。

今ではああすれば良かった。そんな後悔もするが今後に期待して欲しい。

米俵をアイテムボックスに収納する事もできたが、今はその収納スペースも無駄にできない状態。



そんな訳で今では俺の主食は玄米になっている。

少し固いが慣れると味わいも出て来る。栄養が満点なのがおすすめポイント。

魔物のせいで、充分な栄養バランスが取れない今、玄米の栄養はありがたい。

野菜も沢山収穫されているが、以前の食事を思うと・・・贅沢な考えは止めよう。

白米が食べたくなると家庭用精米機で白米にして、できたぬかはぬか漬けにして漬物を食べている。


今度は麦作りでも始めようか、小麦粉の在庫も半分に減ってしまったのでそんな風に考えている。


食事で気になっていた事がようやく解決する事ができた。

それは従魔の食事であった。植物系は太陽の光合成で問題ない。

チューゴやカースとバワンは、狩りに出かけているのでこれも問題ない。

ゴーレムとライやタンタどうしているのか分からなかった。

それが昨日、晴れた空の下でゴーレムが突っ立って日向ぼっこしていた。

俺は何をしているんだと鑑定で見ると、大地からエネルギーを吸い上げていた。

多分、ゴーレム系は大地からエネルギーを吸い上げるのが基本なんだろう。

1つの従魔に対しての知識が深まったと感じる。


・  ・  ・  ・  ・  ・


そして気になっていた事をスマホで検索。

おれが鳥取で戦った結果が知りたかった。

やはり鳥取方面で魔物相手に大勝利をしていた。

それで気をよくして岡山に攻め入る事はしないらしい。

充分な補充兵や情報が少ないのが原因。

なので今は防御しやすいポイントで防衛拠点の充実を図っている。

それも仕方ない事かも知れない。

岡山に入った途端に、強力な魔物に襲われ全滅した部隊は数しれない。



そして速報が入ってきた。

中国で一番激しく戦っている防衛ラインで、10メートルを超える恐竜型の魔物の出現動画が送られて以降通信が途絶えた。

国連の主力部隊が防衛していたので、世界のトップニュースとして駆け巡っている。

その為、国連も重くこの問題を受止めて情報収集に躍起になっている。


・  ・  ・  ・  ・  ・


そして俺は、防御魔法の特訓を繰り返し行なっている。

知識はあっても実戦で使えなくては意味がない。

始めは最大級のバリアを展開して、バワンに光線を噴出してもらった。

防げると思っていたが、木っ端微塵に破壊されてしまった。

俺は地面に両手を付け落ち込み何度も地面を叩いていた。。

そんな俺をライは肩を優しく叩き励ましてくれた。

こんな事で落ち込んでもどうにもならない。


それからは1週間、畑仕事とDIYと防御魔法の特訓をやり続けていた。

防御魔法の特訓だけをやり続けるとモチベーションが上がらなくなる。



そしてついにバリアで光線を防ぐ事ができた。

バリアは通常、俺の体全体を守ろうとしている。

それを集中で光線のみの防御に回す事で防御可能になった。

少しばかりの火傷を負うが、回復可能な火傷なので仕方ないと思っている。

そして結界の面白い使い方を発見した。

自身に結界を掛け、中に入る事で俺の気配を遮断できる様になった。


初めて入った結界内は、白く何処までも広がる世界だった。

音もしない白い世界しか見えない。一人だけ取り残された世界。

そこで意識を集中して、自分自身が張った結界だと認識する。

それでようやく外が見え音も聞こえだした。


ライ達が俺が急に消えた事に驚き、探し回っている事でこの結界が見えないと知った。


狙われていると感じたなら結界に隠れるのも良いかも知れない。



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