第21話前向きな撤退




俺は魔物の死体を土に埋める仕事に専念している。

大量の死体が防衛に対して支障をきたしているからだ。

土塀と同じ高さになると、そこから魔物が潜入して防衛すること自体が不可能。

紫魔石でMP回復をしながら土魔法を使いまくっている。

城内の魔物を地中に埋めても、ゴーレムは現れない。

チューゴが素早く魔石を食べているせいでゴーレムの誕生はない。

俺は今後なん十万の死体を埋めなければならないのだろう。


ようやく死体の片付けが終わり、見張り台に上った。

5キロ先に魔物が集結している。数は3万以上になりまだ集結は終わらない。

集結した中に頭1つでかい奴が5体が微かに見える。

なんだか強そうな魔物で油断は出来ない。

あのザワンの様に油断すると死ぬのだ。

それと既に5万は倒したと思う。今いる奴らを倒せば終わるのだろうか?


城内では単発的に戦いは続いている。

そして木で作った柵は既にボロボロに壊されていた。

土塀は壊れる事無く、今も頑丈に防衛の一端を担っている。

この差は何なんだと思いつつ考えを巡らしているとひらめいた。



新たに誕生した従魔は、更に強くなっていた。

ゴーレム114体とチューゴ212匹は進化してアイアンになっている。

もっと沢山誕生させたいが、後100体ぐらいで従魔強化から外れるみたいだ。

この従魔強化は強力なスキルだと、今更だが取得して良かったと感じる。

AGI素早さが低くても+5で素早さが高くなり、それだけでも魔物相手だと先制攻撃や回避に有利になる。

だから今後は強い魔物を従魔に変えようと思っている。

鑑定で調べて推測の域をでないが、俺がLv10超えをするか新たな従魔系のスキルを取得する以外増やせない。



そろそろ敵軍に動きがあった。

雄たけびが聞こえその数約7万。一斉に向かってきている。

制空権は既にこっちの物で、上空の敵の魔物は既に討伐済み。

それでもこの数になると地響きがしてくる。


そんな緊張の中、サワンがふわりと舞い降りてきた。

体から青白いオーラを充分に発した瞬間に口から光線を噴出。

平地にうごめく魔物達を光と爆音と土煙で見えなくしていった。

サワンの体は急に光りだし、徐々に体が大きくなり2倍程に成長していた。


バワン


Lv1


HP300

MP300


STR16+5 VIT13+5

DEF13+5 INT14+5

DEX15+5 AGI17+5


風魔法・光魔法・自然魔法(自然を操る)


進化していた、俺が知る限りとんでもない強さになっている。

人間相手にLvアップするより魔物相手だと凄い事になるのだろう。

それにしても凄い攻撃手段であった。


ようやく土煙がおさまると死骸の山が平地を埋め尽くしていた。

それでも向かってくる数2万は居るだろう。

その2万にカース達の魔法攻撃が襲う。

【風斬舞】と【雷撃】の複合魔法で1万近くを倒した。


そんな中、遊撃のチューゴ集団が死骸の山を漁っている。

本当に食い意地の悪い奴らだとあきれ返る。


1万が城跡に到着する前にゴーレムと迎撃のチューゴ達に向かって言い放った。


「突撃開始!殲滅せんめつしてこい!」


飛び出す従魔達が城跡を打って出た。

そして激突して爆音がいたる所で発生している。

土煙も一緒に舞い上がっている。

それは1時間ほど続いただろうか。上空では旋回しながらカースらが見守っている。

終わったようだ。

ゴーレムが城跡へ戻ってくる。


チューゴは食い足らないのか、あっちこっちで漁っている。

そしてついにランが進化した。


アイアンゴーレム・ライ身長3メートル


Lv1


HP200

MP200


STR15+5VIT8+5

DEF8+5 INT10+5

DEX8+5 AGI11+5


雷魔法


天下無双(並ぶ者がないほど優れている武将。武器による斬撃を放つ)


何とも猛々しい者になってしまった。


念の為、俺は気配探知に集中する。どうやら40キロ内には万を超す魔物はいないようだ。

しかし50キロを越えた辺りからは、バワンと同等の魔物の気配を3体程感じる。

災害の原点である駅広場に不穏な気配が漂う。


目的も達した。敵の戦力もある程度削ったので頃合だと思う。

まだまだ情報不足は否めない。

このまま残れば、向こうは本気になり俺なんか瞬殺されかねない。

俺は人間なのだ。だから人間である事で新たな力を模索しようと考えた。


また機会があれば戻ってきてもいいのだ。


ようやく集まった従魔に、帰る事を念話で知らせた。

カース達にバワンを先導して帰る様指示を出す。

一斉に羽ばたき家の方へ飛んで行ってしまった。


俺はゲートを開いた。でかくなったギーギンを皆に手伝わせ無理やり押し込んだ。

どうにか通らせたので、次にチューゴらを行かせた。

その間、鉢に植えられた従魔をゴーレムによって回収。

その頃にはゲートは閉じてしまっている。


紫魔石でMP回復をして再度ゲートを開いた。

今までゲートを連続使用できなかったが、ようやく直前の使用で連続使用できるようになった。

これは経験を積むと色々できるようになるらしい。

そして連続使用した事で新たな情報が入ってきた。

ゲートに対してゲートを掛けると、高さ3メートル横2メートルのゲートになり開く時間も2倍になるらしい。

早く言ってくれよっと思ってしまう。

仕方なくゴーレムらが通り、ライはかがんでどうにか通り俺も後を追った。



久し振りの我が家であった。

しかし増えた従魔をここに住まわすには狭苦しい。

以前からも多かったのだから、それは仕方ない。


なので防衛ラインの外に従魔用の砦を作ろうと思う。

この辺りが良さそうだ。地面に手を付き土魔法の【創作】を発動。

地面がせり出し、豪華な砦が出来上がった。

使ったMPは115で、結構な消費である。

それにしても砦とここから見える我が家は小さくてみすぼらしい。

なんでこうなった。俺のDIY魂がやっと目覚めた。


まあこの砦も、念話による従魔の好みで創作してしまった。

地下はチューゴでこいつ等は暗い所が好きなのだ。

1階はゴーレムで立っているだけのスペースがあれば良いらしい。

2階は屋根だけのバワン用にした。

2階はバワンに合わせたので屋根が思ったより高くなってしまった。

カースは大木がある。気に入らないと他の大木へ移動するだけなので作らなかった。

砦を囲うように壁も作って砦らしく出来上がった。


それからチューゴは穴を掘って秘密の抜け道を勝手につくるだろう。



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